夢の加速装置? GPD G1 開封レビュー

コンパクトで高性能な外付けGPUボックスの登場で、ノートPCを購入した後からゲーム機能を後付けすることが可能に。

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PCに触り始めて30年近くなるが、ノートPCのグラフィック性能の強化はWin3.1の時代からの憧れだった。
今でこそUSB-C接続のハブのことをドッキングステーションと呼んだりするが、90年代のドッキングステーションは
もっと合体ロボみたいな感じでCD-ROMドライブや、中にはデスクトップPC用の拡張ボードを搭載できるものなどがあった。
ただ、性能は高くなるもののグラフィックボードを搭載した場合でも映像出力は拡張ボードにつないだ外付けのディスプレイに限られるためノートPC自身の液晶画面は使えなくなったと記憶している。

翻って今回のGPD G1はUSB4接続の外付けGPUであり、映像出力端子とUSBポートを備えている。USB4ケーブル1本でノートPCとつなぎ、GPD G1で処理した映像をノートPC本体の液晶画面に表示することもできるし、周辺機器をつなぐこともでき、普通のノートPCをデスクトップPC並みの性能と利便性に引き上げることができる。
ノートPCを購入する際は必要な性能をよく考えるように言われる。特にGPUの性能は、ゲームやVRに必要となるが専用GPUを搭載したゲーミングPCは性能は高いが価格も高く、筐体やACアダプタが大きかったりする。そのため何をとって何を捨てるかが問題となってくるのだが、これからはUSB4に対応していれば(対応していないPCのほうが今は少ないだろう)本当に欲しいゲームが登場したり、画像処理性能が欲しくなった時に機能を追加することができるようになった。GPD G1はノートPC選びの柔軟性を高める製品ともいえるだろう。

これまでも外付けのGPU(External Graphics Processing Unit)はあったし、デスクトップPCのカードを入れられる外付けeGPUボックスなども存在した。
しかし、筐体が巨大だったり搭載するGPUの性能が今一つだったりしてなかなか魅力的だと思えるものがなかったのである。

GPD G1はまず小さい。そして最新のミドルクラスGPUを搭載しており、価格も(それなりに高いが)外付けeGPUボックス+GPUボードの価格を考えると納得できる範囲である。
自分の場合、場所をとらずに高性能、という点がスイートスポットなので、これを身に着けて運ぼうとは思わないが、自分の部屋からプロジェクターのあるリビングにもっていったりするぐらいは余裕である。240Wの電源を内蔵している点も大きくノートPCに電源供給(60W)可能で、ACアダプターが必要ないのも配置の自由度につながっている。

こちらは吸入口
こちらが排出口。負荷時にはすごい勢いで温風が噴き出す
電源ポートと出力ポート HDMI×1 DP×2 USB3×3 SDメモリスロット。TypeCポートがないのが非常に惜しい。
入力ポート(OCULINKとUSB4))と電源スイッチ。電源入力時には電源ボタンが青く光る
Oculinkケーブル 手作り感にあふれている。Indiegogoのクラウドファンディングではオプションだったがその理由がわかる。

GPD Winmax2と接続するとドライバがダウンロードされ、あっけなく使用可能な状態になった。

アイドルタイムは非常に静かで動かしていても気づかない。(耐久性はわからないが)ゲームをやるとき以外でも常時接続稼働させておいて問題なさそうだ。むしろ電源を切り忘れるほうが問題になりそうだ。

また、電源を入れない状態ではただの電源&ハブとしては動作しない。このため、GPD G1を介して電源をとったり外付けディスプレイに映す場合にはGPD G1の電源をONにしておく必要がある。
またUSB4で接続している時、外部ディスプレイがない状態ではノートPC本体のディスプレイにGPD G1による描画が可能だが、外付けディスプレイをつなげた状態では外付けディスプレイはGPD G1に、ノートPC側のディスプレイはノートPC側のGPUで描画されるようだ。設定で変えられるかもしれないのでこれは確認しようと思う。

いったん吊るしの状態でテストをしてみた。

うーん、高速っちゃぁ高速。Ryzen6800uの内蔵GPUでは2500程度だったTime Spyが7500なので3倍近くに向上したことになる。
とはいえ、AMD Radeon RX 7600M XT を搭載していることを考えると、こんなものか?という気もしてしまう。
そこで外付けディスプレイのThink VisionP24h-10を接続し、解像度は1920×1200、GPD Winmax2の内蔵ディスプレイはOFFとして再度計測してみた。
結果は以下の通りだ。


USB4ケーブル1本で接続した場合、処理対象のデータをGPD Winmax2側からGPD G1に送り処理された画像データをGPD G1からGPD Winmax2に送り返すことになる。USB4の帯域がこの往復でひっ迫するため性能の足を引っ張ると考えられる。外付けディスプレイをつないだ場合は、処理された映像データはDPケーブルを通ってディスプレイに表示されるので帯域の問題が起きにくくなるのだ。
とはいえTimeSpyで1万越えは狙ってほしいところでもある。GPD のサイトではGPD G1を通常の100W駆動から120W駆動に引き上げるBIOSも配布されている。さらにGPD G1はUSB4より高速転送可能なOCULINK接続が可能であり、最新のGPD製品のラインナップではGPD Win4やGPD Winmini、GPD Winmax2(2023)などが対応しているのでこれらを接続した場合はさらに性能を高めることが可能だろう。
この後、GPD Winmax2以外のPCでも試したり、消費電力なども確認していきたい。

※GPD Winmax2にはGPD Winmax2(無印)とCPUを最新化したGPD Winmax2 2023があり、GPD Winmax2 2023にはRyzen7640uとRyzen7840u、LTE有り無しなどバリエーションがある。