見かけはモバイル中身はフルサイズノートパソコン GPD WINMAX 開封レビュー

予定より1か月ほど遅れたものの、無事GPD WINMAXのIndiegogo版が発送され、手元に届いたのでレビューする。ゲームパッドのインパクトが強いが、ボディやキーボードのしっかり感は向上し、性能はフルサイズノートPCに勝るとも劣らない、UMPCとしての完成形も高まっている印象である。

※ベンチマークテストの結果をGPD WINMAX レビュー② ベンチマークテストでご紹介

1.到着

スペックなどはGPD のサイトをご参照のこと。ほとんど非の付け所がないスペックが盛り込まれている。

中蓋が入っている
きれいな梱包
内容物はシンプル

2.各部を見てみる

・外観
GPD Pocket2に比べてマッシブな印象。しかし各エッジはきれいにラウンドされ、手で持って扱うことがしっかり考えられているようで触り心地が良い。左右から握るとよく手になじむ。ただ、机に置いたりする際にL2、R2ボタンが机と接触しがちなのは気になった。カバンの中で何かと引っかかってこのボタンが損傷しないかと気がかりだ。また、それなりにベゼルがあるにも関わらずカメラがないのは惜しいところ。

蓋のところに手をかけるくぼみがあるので開閉が楽である。Envy x360の数少ない不満点はこの配慮がない点だったりする。
触り心地が良いとはいえ長時間持ち続けるには厳しい重量。出先で机に手をつく使い方がメインになるだろう。
65W給電できるACアダプタ。Envy x360のACアダプタは同性能で230gだったことを考えると軽量でコンパクトだ。

・キーボード
非常に打ちやすい。同サイズのOnemix3以上に違和感なくタイプできる。また、打感も普通のノートPCと遜色ない印象である。ENVY x360よりキーの反発が柔らかく、力を入れずに指を滑らせるような入力ができ、自分の好みである。また、2020年登場予定のUMPCを比較するにも書いたがやはり若干キーが小さくても数字キーとファンクションは分かれていたほうが自分の使い方にはあっている。贅沢なことを言えば、ファンクションと数字キーが上下にもう少し離れていれば、とは思うがファンクションを入力するたびにFnキーを押す面倒を考えれば十分我慢できる。

また、タッチパッドが非常に使いやすい。この位置は変則的だが、違和感なく操作できた。精度も高く、狙ったところをしっかりタップすることができストレスがない。何より、キーを打っているときに誤って触れたり手がかすめることによるポインタの飛びが発生しないため、キーボードが小さいUMPCはこちらのほうが良いのではないだろうか。

スピーカー
音質は褒められないものの、やはりステレオスピーカーは良いものである。Youtubeで動画を見たりRadikoを聞くとモノラルスピーカーとの臨場感の違いは明らかだ。

大きくとられた吸気口と両側のステレオスピーカー。素晴らしい。

・サイズ
Onemix3より一回り大きく、850gの筐体は決して軽くはない。しかし、900g以下でタッチパネル付き、という条件になるとライバルはぐっと減る。

さすがにA4ノートPCと比べると圧倒的に小さい。
GPD Pocket2、OneMix3、GPD WINMAXの比較。幅はOneMix3と同等ながらゲームパッドの分だけ前後に長い

ディスプレイ
小さいこともあるがくっきりときれいなディスプレイだと思う。自分は「のぞき見されやすくなるのでモバイルパソコンに視野角は不要」と思っている輩なのでこんなに横からきれいに見える必要あるのか…?と思ってしまうが。
解像度は1280×800で広くはないが、8インチレベルのディスプレイであればこの解像度で十分だと思う。解像度を無理に上げないことでドットピッチが大きくなり、光がとおりやすくなるので十分な光量を少ない電力で得ることができるという良い面もあるだろう。

180度まで開くディスプレイ。立てかけて高さを目に合わせる、といった使い方もできそうである。
視野角が広い。とはいえここまでの視野角が必要かな…?

性能
出荷状態で3DMarkのFire Strikeを実施したところ2488だった。3DMarkのインストールも非常に高速。3DMarkのインストールパッケージは6GBあり、おっさんはこの容量を見ただけで「時間かかるだろうなぁ」と怯んでしまうのだが、ものの数分でインストールは完了する。YプロセッサやMMCストレージと比べると隔世の感がある。
熱風は真後ろに排出されるが筐体は熱くなったりはせず、新しい放熱機構が有効であることがうかがえる。インストール時にワットチェッカーを見たところ使用電力が64Wとなっていた。3DMark実行時は40W程度に落ちる。Envy x360でも最高50W程度だったので、IceLakeのCPU側の使用電力の大きさを感じる。そして60Wを超える冷却性能がこの筐体にあるということなので大したものだと思う。

このサイズにしてこの性能。ちょっと設定を落とせば多くのゲームを動かせるだろう。
3DMarkインストール中。これだけの電力を冷却できているのだからすごい。

・インターフェース
大きな特徴は有線LANポートとフルサイズHDMIの搭載だろう。Thunderbolt3にも対応して外部GPUが使える点やUSB A、USB TypeC端子が2つずつついている点も抜かりがない。ゲームへの最適化を進めた結果、PCとしても使い勝手の良いものになっている。

インターフェースは今どきのスリムA4ノートよりも豊富だ

ゲームパッド
アルプス製のスイッチが使用された高品位なゲームパッドが売り…なのだが、自分はゲームパッドを使用するゲームはやらないので評価不能である。出荷状態では右側のポインタでマウスカーソルの移動ができる。ポインタの移動速度は2段階になっているが、5段階ぐらいになっていると使い勝手がよさそうなのに、と思う。設定を修正できるのだろうか。ただ、このパッドは「小さくてもゲームができるよ!」というWINシリーズのアイデンティティみたいなものという認識なのでなくしてしまえ、とは全く思わない。

ここまでの総評

クラウドファンディングでGPD WINMAXが告知された当初、「これはすごいUMPCがでるぞ」という衝撃を受けた。ただ、2020年の夏はRyzen4000シリーズを搭載したPCが一世を風靡し、IceLakeは一気に隅に追いやられてしまったように思う。実際、10世代Intelを搭載したノートパソコンの人気は芳しくはない。しかし、UMPCとしてみるとGPD WINMAXは性能だけでなく、完成度において歴代最強といってもよいだろう。後は本体の耐久性に問題がなく、バッテリーの膨張現象が起きないことを願うばかりだ。

各種設定やドライバを更新してベンチマークテストは追って行いたいと思う。