エリアの拡大がうれしいSpeed Wi-Fi 5G X11 WX03との比較レビュー

WX03からエリアの拡大を期待してモバイルWifiルーターをSpeed Wi-Fi 5G X11に機種変更した。前評判に怖気づいていたが、自分の環境ではまずまず満足できる状態である。

機種変更の経緯

先日、田舎の親戚の家を譲り受けた。もともと祖父母の家だったものを自分の父親の兄である長男家族が相続したものの、東京で車を持たない生活をしている長男家族には管理の荷が重く、売り払おうと考えたそうだ。

この家は東京から高速道路を使って2時間半程の海の近くにある小さめの2階建てで、築40年以上ということもあって資産価値は低い。
そうはいっても自分にとっては思い出深い祖父母の家なので、売却されれば取り壊しが確定的ということもあり、売却予定金額での購入を申し出た。長男家族としても祖父母が大事にしていた家を壊してしまうのは忍びないので、どうせ安いしタダでも構わないとのことであった。しかしネットで調べると後々のトラブルを避けるためにも低額でも売買契約書を結んだほうが良いとのことだったので、資産価値よりさらに低い金額で譲り受けることとなった。親戚の知り合いの弁理士に、ほとんどお任せ状態で契約を作成してもらい、購入決定から1か月程度で長男の家族との家の売買契約を締結した。弁理士への手数料が15万円ほどかかり、この費用は買い手が負担するのが一般的というのを知らなかったのでちょっと予定外の出費はあったものの、かくて家は自分のものとなり、形だけなら別荘持ちのような状態となっている。

Speed Wi-Fi 5G X11

前置きが長くなったが、X11のお話である。

この家に行くのはせいぜい月に1回、土日の2日間だ。海沿いなので近くのスーパー…などはなく「魚屋さん」で食材を買えば新鮮な魚介料理は絶品だし、近くの日帰り温泉に入ればちょっとした旅行気分が味わえる。

それは良いのだが、ネット環境がない。残念なことにWX05の電波は届かないのである。
たまにアンテナが1本立つこともあるが、ほぼ通信は不可能だった。

はっきり言って、現在ではネットがないところで生活はできない。
とはいえ月2日の利用のために回線を引くのはありえない話だ。

どうしたものかと思っていたところ、Wimaxのバージョンアップに目が留まった。現在、ギガ放題プラスプランではWimax2と4G LTE回線のミックスとなっているらしい。

加えて、新プランではau 5Gとau 4G LTEの一部エリアでの通信も月間容量無制限となりました。


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ギガ放題プラスプランでは4G LTEのBand 1/3も月額利用制限なし(3日間で15GBを超えた場合、制限がかかる可能性があるとされている)で使える。

一部とはいえ4G LTE回線が使えるのであれば通信の可能性は大幅に高まる。仕事でWX05を持ち込んだものの、鉄筋の建物の奥には電波が届きにくい、ということもあったが、それも解消されるかもしれない。

このプランで使用できる端末はNEC製のSpeed Wi-Fi 5G X11(製品ページ)とSamsung製のGalaxy 5G Mobile Wi-Fi(製品ページ)、およびホームルーターということになる。自分は持ち出して使うのでホームルーターは選択肢に入らない。
今までNEC製を使っていたので、今回もX11にしたいところだったが、口コミサイトで評判を見てみると機種変更をためらってしまうレベルの低評価ぶりだった。しばらくためらったもののやっぱり外部アンテナ(クレードル)が好きなのでX11を選択した。
ところが、いざ自分のプロバイダのDTIに機種変更の申請をしようとしたら、クレードル付きは売り切れとなっている。仕方がないのでクレードルはAMAZONで購入し、本体のみDTIに注文することになった。
※製品ページは自分が使っているDTIのページにリンクしているが、Wimaxには様々なプロバイダがあるので、興味がある方は自分の使い方にあったところを調べたほうが良いと思う。

X11のファーストインプレッション

待つこと数日、X11が送られてきた。
口コミ掲示板で目立った低評価の理由は、大きさとそれに見合わないバッテリー持ちの悪さ、低速通信、物理ボタンによる操作性の悪さ、予期せぬ通信切断とそこからの再起動の所要時間といったところで、要するに全部だ。

一見して大きい
合体
WX05のときもでかくなったと思ったが…。

開けてみると確かにでかい。WX05に変えたときも「大きくなった」と感じたものだが、それより大幅に巨大化している。
でかいだけあって重い。ただ、ポケットWifiはスマホとは異なる。カバンか何かに入れておけばよいので、そこまで気にはならなかった。

WX0は127gだったのでかなりの重量増

いったんWX05で現在の速度を計ってからX11を確認していく。

物理ボタンは好みが分かれそうだが、3つのボタンだけで制御することを考えると比較的使いやすいと感じる。ただし、タッチディスプレイのほうが使いやすいのは間違いない。なぜこうなったのかは確かに疑問である。起動時間も評価の悪さに納得する所要時間だった。半分ぐらいの速さで起動してほしい。

上下キーでカーソルを回転させ、〇ボタンで決定する。思ったよりは使いやすいが、タッチパネルのほうが良いと思う。

ちなみにX11は5G回線にも対応しているが、自分にとってはおまけみたいなものだ。iPhone12 miniを使用しているが、相変わらずほとんど5G通信になったのを見たことはない。将来を考えても「海の家」は当然のこと、板橋区の住んでいるところでさえ整備計画が不明である。X11の製品寿命のうちに5Gの恩恵に浴することは期待薄だろう。

回線の切り替え

WX05からX11への回線の切り替えはネットから各プロバイダで申請する。自分が契約しているのはDTIなので、もしかするとプロバイダによってプロセスが違うかもしれないが、申請からほどなくしてX11が使用できるようになった。
ちなみにDTIの場合(?)、切り替えは平日の9時から21時30分までの申請・対応となるため注意が必要だ。
※21時30分以降の申請分は翌日対応となる。

最初に起動した際にファームアップも行われたので若干時間がかかったものの、接続に関しては問題なく、iPhone12miniとGPD Pocket3、会社で使用しているHPのelite x2などを続々と接続していったが、特に問題なくどの機器も使えるようになった。

性能の確認

事前に実施したWX05と同じ条件でX11の通信性能を確認する。使用したのはいつもの通りauひかりの達人さんのスピードテストのサイトである。
X11は「ハイパフォーマンスモードよりECOモードのほうが通信が安定し、高速に通信できる」と口コミに書いてあったので試してみた。すべてクレードルに乗せた状態で計測し、3回計測した結果を平均している。

X11の最もよかった結果。借りている部屋のDocomo光は100Mbpsまでしか対応していない。夢の100Mbps越えまであと一歩。
ちなみにISPがJPNEになっているが、計測ページを開いた後にネットワークを切り替えても元のISP(ドコモ光)名が残ってしまうようだ。
本来は「au one net」となる。Docomo光ならアップロードも50Mbpsは出るのと使用ネットワークの切り替えは確認している。

悲惨な口コミの評価からWX05より遅いんじゃないかと内心ドキドキしていたが、結果としてX11のほうがかなり高速だった。ハイパフォーマンスモードよりもECOモードのほうが速いのは口コミ通りだ。Wimax2+の速度は変わらないはずだから4G LTEでつながっているのだろう(Wimax2+でつながっていてもX11の表示は「4G LTE」となるのでどちらでつながっているのかはわからない)
この時間、自分の家、テストのみの利用という限定された条件ではあるものの一安心である。

また、クレードルの有無でも計測したところ、クレードルありのほうが高速になった。わざわざ購入した甲斐もあるということだ。

固定回線のBuffaloルーターはこれぐらい暑い季節になると、2,3日に1回はダウンする。バックアップとして利用していたWX05からX11に変えたのだが、半日会社のVPNにつないでいても問題はなかった。

その後、実際に「海の家」に持ち込んで試してみたが、X11で通信できることを確認した。
これで、やろうと思えばテレワークも可能となったわけで、ようやくこの家の運用を考えることができる。
「ネット環境はライフライン」なのである。