GPD MicroPC2の性能は「日常用途「ゲーム」でどこまで使えるのか。今回はTDP 10W/12W/15Wの3条件で、PassMark・PCMark10・3DMarkに加え、Zenless Zone ZeroをCapFrameXで計測した。結論を先に言うと、業務・学習なら10Wで十分、TDPを上げてもGPU寄りの性能はで伸びにくくゲームはやっぱり専門UMPCで、というのが実測から見えたポイントである。
※各設定の変更などは故障・不可逆な不調などにつながる可能性があります。設定変更の際は自己責任にてお願いいたします。
1.初めに
GPD MicroPC2は文書作成やモバイルWeb用途では概ね困らない一方、ローエンド寄りのCPUとiGPUなので「どこまで頑張れるか」は気になるところだ。そこで今回は、TDPを10W/12W(一部)/15Wに設定して、総合ベンチとZenless Zone Zero(以下ZZZ)の実フレームレートを測定した。
2.テスト環境・方法:TDP設定と計測手順
- CPU:Intel Core i3‑N300
- GPU:Intel UHD Graphics(内蔵)
- メモリ:16GB(4×4GB) 4800MT/s
- OS:Windows 11 Pro Build 26100
※CapFrameXログのシステム情報より - TDPはBIOS画面(起動時Deleteキー連打で表示)の OEM System Configuration より設定
3.統合ベンチマーク
3.1. PassMark
TDP 10W=8446/15W=9822。TDPを1.5倍にしてもスコアは約+16%に留まる。とはいえ、着実にスコアは伸びている。このブログの計測結果では、15W設定でGPD Winmax( Core™i5-1035G7)に比肩するレベルといえる。


3.2. PCMark10
結果:TDP10W=2827/15W=2897(+2.5%程度)。
PCMark10のWeb・Office系タスクは短処理とI/O待ちが混ざるため、TDPを上げても体感差は小さいと考えられる。
こちらはOneMix3(Core™ m3-8100Y)と同程度にとどまるようだ。


3.3. 3DMark
TDPを変更してもグラフィックススコアはほぼ同値だった。これは、iGPU側にTDPに応じたバースト設定がない(TDPを上げても性能向上しない)ためと考えられる。また、一部では15Wが10Wより低下した。こちらはCPUへの電力供給に伴う発熱量の増加に対応できず、サーマルスロットリング(熱ダレ)が起きているためではないか。ただし、冷却力を向上させてもあまりスコアには影響はなさそうに思われる。



4. 実ゲーム検証(Zenless Zone Zero)
設定:デフォルト「低」からさらに下げられる項目は全下げ(AAのみTAAを選択。OFFにすると7インチの画面でもちょっと見るに堪えなくなる)。CapFrameXでフレーム数を収録した。
下に画像のサンプルがあるが、TAAさえオンにしておけば、7インチの画面であれば不快感はそれほどでもない。
以前のテスト同様、街区間のランニングと基礎メンバーでの戦闘を行った(今回は素材集め戦闘を実施)。
4.1. 街ラン(Run)
6部街を端から端まで走る。
7インチの内蔵画面なら「思ったより動く」。30インチの外部モニタではさすがに粗さが目立つが、これならいけるかもと期待させる内容だった。12Wが10Wより低い点については:カメラの振りや人混み量などサンプル差による可能性が高い。


4.2.戦闘(Combat)
10W:平均 26.56 FPS/5% Low 21.49
最も良い成績だった12W時においては、出先でちょっと遊ぶならこれでも行けそう、という印象がある。ストーリーを進めるのは物足りないが、ミニゲームや素材収集などには耐えそうである。ちなみにこれは内蔵ディスプレイの場合で、30インチ外部ディスプレイにすると処理落ちが目に留まる。CapFrameXのスコアでは外部ディスプレイの方が1fps程度高い数値だったこともあり不思議だが、大きく拡大すると粗が見えてしまうのかもしれない。
一方、15Wにするとガタつきが悪化した。これは発熱→スロットリング→フレームタイムのブレ増大と考えられる。5% Lowの落ち込みは入力遅延や引っかかりとして体感できる。


5.まとめ
デフォルトの10W運用が最適。上げるとしても12Wまでで、15Wが活きる局面は限定的だと思われる。
ゲームについては軽量ゲームが対象となるが、描画負荷を徹底的に軽量化すれば遊べるものもそれなりにある印象だ。
MicroPC2は業務志向設計なので性能・機能ともに割り切った内容となっている。自分としてはこのサイズ感でホームユース重視の、スピーカー強化/In/Outカメラ/デジタイザ/USB4対応のGPD Pocket5系にも期待したい。


