WINDOWSのPCの利用されていないときの状態としてシャットダウン・休止・スリープがある。各モードの特徴とGPD POCKET2の場合の最適な設定について考える。
サーバーコンピューターでもない限りほとんどの方のパソコンやスマホは使われている時間より使われていない時間のほうが長いはずだ。「この時間をどのように過ごさせるか」がバッテリーの持ちに影響してくる。
WINDOWSのPCは利用されていないときの状態としてシャットダウン・休止・スリープというモードが用意されている。また、これだけでなくハイブリッドスリープとかConneted Standbyというモードも存在する。
自分が良く使う冒頭の3つの特徴は以下のようになる。
起動状態はPCを普段使っている状態である。人の指示やシステムの維持のためにCPUが処理を行う。そこで生じた作業の情報はメモリ(主記憶装置)やSSD、HDD(補助記憶装置)に保存されることになる。
次にスリープの状態になるとCPUは基本的に処理を行わない。このためCPUは電力を消費しない。さらにCPUが動かないことで作業状態は更新されることがない。SSDやHDDは通電させなくても情報が保持されるので電流を流す必要はない。だが、2019年現在流通しているPCのメモリは一定の電流を流し続けなければデータが消えてしまう。このためスリープという状態は処理は行わないがメモリの情報を保持するだけの電力を消費する状態 ということができる。この状態では一定の電力がかかる一方、CPUとHDDに電力を供給すればすぐに作業を再開することができる。
休止になるとメモリへの通電も行わない。しかしそうするとメモリの情報が消えてしまうのでいったんSSDやHDDに情報を書き込む、という処理を行う。再び処理を再開する際にはSSDやHDDに書き込んだ情報をメモリに書き戻す必要がある。このため休止という状態は処理を停止し、メモリの情報をSSDやHDDに書き込むことで極力電力の消費を抑える状態といえる。この状態では電力がかからない反面、処理の停止と再開の際に記憶装置への書き込みや読み込みが発生するため、15-30秒程度の時間がかかる。
シャットダウンの場合は処理の情報はSSDやHDDから消えることになる。
状態 | 起動の速度 | 電力の消費 | 作業の状態 |
---|---|---|---|
スリープ | 速い(1-2秒程度) | 消費する | 保持する |
休止 | 遅い(10秒-20秒程度) | ほとんど消費しない | 保持する |
シャットダウン | 遅い(10秒-20秒程度) | 消費しない(バッテリーの自然減は発生する) | 保持しない |
つまり起動にかかる時間と、止めているときの電力消費量から使用するモードを選ぶのが良いだろう。
また、 Windows10のPCにはConnected Standbyという状態も存在し、ネットへの接続を残しながらスリープしている状態にできる。GPD Pocket(初代)やSurfaceシリーズや多くのWindowsタブレット端末などが対応している。
この機能により例えばバックグラウンドで更新ファイルをダウンロードする、通知を受け取るといったことができる。ただし一定期間ごとにネットに接続するので意図しないバッテリー消費につながることがある。
これらを踏まえ、次回はGPD Pocket2を使いながら検討した結果を整理したい。
ところで、休止モードはほとんど電力を消費しないのだが、メモリの内容をSSDやHDDに書き出したり読み出したりする際にバッテリーを消費するのではないだろうか。
これを東日本大震災の時にMicrosoftが調べている。
WINDOWS消費電力検証結果レポート
https://technet.microsoft.com/ja-jp/windows/hh146891?f=255&MSPPError=-2147217396
当時は計画停電が行われていてオフィスでもPCを中心とした節電が取り組まれていた。例えば席を立つときや昼の休憩に出かけるとき、どちらが電力消費を抑えることができるのか。
結論としてデータの入出力の影響はやはりあるため、90分までであれば休止よりもスリープのほうが電力使用量が少なくて済むとのことだ。
検証されたOSがXPやWindows7ではあるものの、傾向は変わらないだろう。
このレポートは様々なパターンで消費電力が調査されていて、PCを使用する企業の節電と事業継続の両立に向けてMicrosoftが真正面から取り組んでいたことが伝わってきてちょっと感動してしまった。ディスプレイ設定による電力消費への影響なども調査されているのでご確認いただければと思う。