今年も押し迫ってきた。2024年度の振り返りと2025年の予想をしておきたい。
※このページは随時更新していきます。
2024年はAMDの Ryzen AI APU と Lunar Lake と呼ばれていた IntelのCore Ultra 226V~288V APUの発売が予定されていた。自分の印象ではパッケージングを変え、APUとメモリをオンパッケージにしたIntelのLunar は特に注目されていたと思う。
そして、驚いたことに両APUは予定通り2024年内に発売された。AIの新機軸を盛り込み、Intelは革新的な変更を行っていたため、以前ならIntelにせよAMDにせよ3か月や下手すると半年遅れることも珍しくなかったので、両方がオンスケで発売されるのはそれだけで驚きである。ノートPCのAPU開発競争がそれだけ熾烈だということかもしれない。両APUとも前バージョンと比較して強く打ち出されていたのはAI機能だったが、端末に組み込まれたAIの活用はまだまだこれからといったところだろう。
市場としては、マーケティング情報メディアのBCNが「持ち運べるゲーム環境はPC市場を広げるか──ゲーミングPCの現在地」の中で、2023年にROG Allyが一定期間ASUSのシェアを引き上げたと記載されている。ゲーミングノートPCという狭いくくりではなくノートPC全体のなかでシェアを上げるほどROG Allyが売られたというのは結構すごい。
また、日経ビジネスが「超小型ポータブルゲーミングPC ユーザーの心つかんで急増」の記事でポータブルゲーミングPCの盛り上がりぶりを記載している。
黎明期から見ていた自分としては日経ビジネスにOne-Netbookの「ONEXFLY」が掲載されるのも感慨深い。
少なくとも日本では市場があり、世界においてはどう転ぶかがこれから決まる、というところだろうか。
そんな概況も踏まえつつの2024年だが、個人的には変化の少ない1年という印象だった。数多く発売されているスレート型のポータブルゲーミングPCはほとんど行きつくところまで行っていて、APUを最新化しながら大きくなったり行き過ぎたことに気づいて小さく戻ったりしている状況である。
性能は消費電力と発熱量とのトレードオフであり、それは同時に重量・サイズとのトレードオフともいえる。性能を上げると消費電力が上がりバッテリーを大きくしなければならない。増加する発熱に放熱器を増やせばやはり重さと体積が増える。そしてAPUはAMDとIntelの実質2種類。
この制約の中で設計しなければならないためどれも似通ってくるのだ。また、キーボード付きなど構造を複雑にすると設計にも製造にも金がかかり、不良率が上がる。わざわざコストをかけてニッチな領域のさらにマニアな層にリーチするべきか。となるとシンプルなスレート型に落ち着き、やはり差別化が難しい。
性能についてもLunar Lakeは驚異的なエネルギー効率とAppleのMシリーズ並みのメモリバス…を期待したが、確かに性能は向上したものの、残念ながら飛躍的な向上とまでは感じられず、線形的で順当な性能向上 にとどまった印象である。上記3点のどこかにイノベーションが起きないと、なかなか新機軸は生まれそうにない。
とはいってもAFMFのような補完技術を使えばこの小ささのPCたちでも本格的にゲームが遊べる。さらに15万円で買った直後に2倍の性能の新機種が出る、ことが考えにくいので、買い手にとっては安心して買える状態になった2024年 とも言えるだろう。
2025年はAMDからStrix HaloというハイエンドAPUが出る予定だ。ワンチップでデスクトップのRTX2060 に比肩する性能を出すという。ただし、そのためにはTDPが55W~100W超ということでイロモノ10インチクラスなら載せられるかもしれないぐらいで、7型や8型には収まらないような気がする。
このため2025年はポータブルゲーミングPCには大きな変動はないのでは?というのが自分の予想である。(1月のCESで速攻で書き換えるかもしれないけど。。。)
ここからはメーカーごとに見ていく。
2025年の序盤はRyzen AI 9と Core Ultra7 搭載マシンが本格的に出荷されるところから始まる。
メーカー | ONE-NETBOOK | MSI | MSI | Game Pad Digital | Game Pad Digital | AYANEO | ONE-NETBOOK | Legion Go S |
機種名 | OneXFly F1 Pro | Claw7 AI+ | Claw8 AI+ | GPD Pocket4 | GPD Winmax2(2025) | AYANEO 3 | ONEXPLAYER G1 (OneGX2) | Lenovo |
CPU | AMD Ryzen AI 9 HX370 AMD Ryzen AI 9 HX365 AMD Ryzen7 8840u | Core Ultra 7 258V | Core Ultra 7 258V | AMD Ryzen AI 9 HX370 /365 AMD Ryzen7 8840u | AMD Ryzen AI 9 HX370 AMD Ryzen7 8840u (TDP:35W) | AMD Ryzen AI 9 HX370 AMD Ryzen7 8840u | AMD Ryzen AI 9 HX370 | AMD Z2 AI 9 HX370のカスタムチップ? |
Memory | LPDDR5 7500Mhz 16GB-32GB | LPDDR5 8533Mhz 32GB | LPDDR5 8533Mhz 32GB | LPDDR5 7500Mhz 16GB-64GB | LPDDR5 7500Mhz 32GB-64GB | ? | ? | ? |
記憶装置 | 1TB-4TB | ?? | ?? | 1TB-4TB | 1TB-2TB | ? | ? | ? |
画面サイズ | 7インチ(1920×1080) | 7インチ(1920×1080) 120Hz | 8インチ(1920×1200) 120Hz | 8.8インチ(2560×1600) 144hz | 10.1インチ(2.560 x 1.600) | 7インチ(LCD or OLED ) Hi Refresh rate | 8.8インチ? | ? |
本体サイズ(mm) | 263.6×98.2×22.6 | 290 x 117 x 21.2 | 299 x 126 x 24 | 206.8×144.5×22.2 | 228×160×23 | ? | ? | ? |
本体重量 | 599g | 675g | 795g | 770g | 1005g | ? | ? | ? |
デジタルペン | ? | × | × | × | 〇(Surface Pen) | × | ? | ? |
カメラ | ? | × | × | 〇(Front) | 〇 | × | ? | ? |
バッテリー | 48.5Wh | 54.5Wh | 80Wh | 44.8wh | 67Wh | ? | ? | ? |
拡張ボート | USB C-4.0×2、USB A×1、Oculink、microSD | USB C 4.0 ×2、microSD | USB C 4.0 ×2、microSD | USB4×1、USB-A、HDMI | Thunderbolt 4×2、Oculink、USB3.2×2 SD+MicroSD PCIe gen4 solt×2 | ? | Oculink その他不明 | ? |
その他 | 指紋認証、着脱式キーボード、着脱式コントローラー、着脱式スタンド、顔認証、Harmanスピーカー | 指紋認証、ゲームパッド、2W×2スピーカー、 | 指紋認証、ゲームパッド、2W×2スピーカー | 指紋認証、2in1、選択モジュール構造(LTE,KVMなど) | 指紋認証、ゲームパッド,ゲームパッドカバー 、4G LTE、ThunderBolt4、バックライト付きフルキーボード,クァッドスピーカー(アンプアップデート) | ゲームパッド、ステレオスピーカー(音質作りこみ)、モジュール式コントロールパッド | 着脱式キーボード | ? |
登場予定 | 販売中(日本ではComing Soon) | 近日発売 | 近日発売 | 2月ごろ一般販売開始 | 1月ごろ一般販売開始 | 2025/02/01 | ?? | ? |
参照URL | メーカーサイト | メーカーサイト | メーカーサイト | 海外販売サイト | 海外販売サイト | メーカーサイト | クラウドファンディングサイト | リーク情報 |
ONE-NETBOOK
海外ではすでに先行販売されているらしいOneXFly F1 Proが日本のサイトでもComing Soonとなっている。
AMD Ryzen AI 9 HX370 は2025年のスタンダードだと思うが、本機の特徴はコンパクトさだ。ディスプレイを7インチとし、バッテリーを48.5Whに割り切って500g台(まぁ公称599gだけど)に乗せたのは立派だと思う。GPD Winminiをプライベートでも通勤でも持ち歩いているが、自分は500g台でないと毎日持ち歩く気にはならない。
ちなみにOneGX2という新機種が予告されている。キーボードが2層構造で取り外せる変態的な作りということで楽しみだが、ディスプレイが8.8インチ、重さは900g程度ということで「うーん大きいのね…」と残念に思う。GPD Winmax2への対抗機のようだ。
MSI
IntelのCore Ultra 7 258Vを採用した新機種が発売される。7インチと8インチで基本的にスペックは同じだが、バッテリー容量は異なり、8インチの方が100g以上重い。8インチ版の方は放熱強化と高TDPが設定されている可能性があり、実際の性能にも違いがあるかもしれない。
Game Pad Digital
2024年年末にクラウドファンディングが行われているGPD Pocket4とGPD Winmax2(2025) が市販される。GPD Pocket4はディスプレイが8.8インチだが、純UMPCといえる数少ないマシンである。純UMPCといいつつほかにない回転ヒンジ機構や交換式の拡張スロットを備え、AMD Ryzen AI 9 HX370を選択すればゲーム性能も他のゲーミングUMPCに引けを取るものではないはずだ。小型のノートPCとしての利用を考えるとHDMIが標準でついているのもポイントが高い。
基本的にAPUを載せ替えただけのバージョンアップであればこのページには載せない(そういう意味ではキーボード付きスライド端末のGPD Win4(2025)もAMD Ryzen AI 9 HX370 を搭載して発売される)のだが、GPD Winmax2(2025)はポート追加など、前バージョンから変更があったので記載している。
AYANEO
AYANEO 3の発売が予定されている。AMD Ryzen AI 9 HX370とOLEDの搭載が目玉である。それだけでなくスレート型でありながら、キーパッドが交換可能な仕様になるようだ。これは今まであまりなかったパターンではないか。ゲームコントローラーを外して左右分割でキーボードがつけられる仕様だったら・・・、などと妄想したが、それは考慮されていないようだ。
Lenovo
Legion Go の後継機、Legion Go Sが予定されている。搭載OSはSteamOSということだが、Steam Deckと同様にWindowsが動くかもしれない。詳細はCESだろうか。
GPD WinMINIが最高に気に入っている自分としてはGPD Winmini(2025)に指紋認証とLTEがつけば即追加購入なのだが、それは望みえないようで、いったん様子見からの2025年になりそうである。