GPD WinMini 性能レビュー② GPD WinMini(2024)が出る前に

GPD Win Mini(2024)が発売間近となっている。GPD Win Mini(2024)はGPD Win MiniのAPUを最新化し、ディスプレイやI/O部分を変更したマイナーアップデートバージョンだ。既にIndieGOGOのクラウドファンディングは終了し、一部出荷も始まっており、GPD Win Miniの型落ちも目前である。そうなる前に最高性能が出せる設定を試しておく。

※設定の変更には故障などのリスクを伴います。実行に当たってはご自身の責任でお願いします。

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型落ちとは言ったものの、Ryzen7840uとRyzen8840uの性能差は10%程度で、現時点ではほとんどの人に恩恵のないAI機能の追加程度なので型落ち感はほとんどないだろうとは思っている。パフォーマンスレビューでは、GPD Win Miniの性能は他のRyzen 7840u機に一歩及ばないスコアとなっているものの、公式から本来の性能を発揮させる設定も公開されているので、GWを使ってテストをした。

パフォーマンス設定

 GPDに申請するともらえるver2.55のBIOSを使用。※現在も配布しているかは未確認。
 これにより28W設定が実際に28Wとして生き、メモリのクロック設定を7500Mhzに設定できるようになる。
 1. TDPを28Wに設定
 2. メモリクロックを7500Mhzに設定

 また、2.に当たっては不安定になる場合があるとのことで、以下の記事を参考に設定を行った。

The TIPS from our friend ciphray about the RAM frequency:
in the bios advanced, amd cbs, umc common options, lpddr options, lpddr controller configuration, lpddr power options
power down enable : disabled
phy low power disable: 1
this is a setting that helps a lot with memory stability on both the max 2 and mini
If you encounter stability issues after raising the memory frequency to 7500MT, give this a try.

https://x.com/softwincn/status/1745743747361681754

RADEONドライバのバージョンは24.2である。
参考まで、TDP 15W時のTimeSpy 2479であった。パフォーマンスレビューの記事では2518だったから多少下がっている。

PCは使うほどに性能が下がる。OSの老廃物やアプリを入れる際に入ってくる各種サービス、放熱グリスの乾燥などが原因だ。古いPCでこれらの問題を修正すると30%程度性能が回復することもあるらしい。また、グラフィックドライバも出てからしばらくたつと安定性の向上に伴って性能が落ちることがある。消費者にとって購入するときのベンチマークテストの30ポイントの差は大きいが、グラフィックボードを購入後は多くの人が気を留めなくなる。一方で、一定の条件でゲーム中にクラッシュするようなことはあってはならないため、パッチが当てられる。これらの繰り返しでスコアはドライババージョンが上がるほどに下がることが多い印象だ。
ともあれ、これをスタート地点として、以下の3パターンでテストする

① TDPを28 Wに設定
② ①+メモリクロック7500Mhz
③ ②をサーキュレーターの上で実施。

①はパフォーマンスレビューの記事の28Wと基本的に同じ設定である。
②はそれにメモリクロックのアップデートを試みる。
GPD Win Miniの小さな筐体ではこれらの熱処理を十分行えていない可能性がある。サーキュレーターの強力な空冷を利かせながら実行することで真の実力を発揮できるのではという観点が③である。

テスト対象はTimeSpy、FF15ベンチマーク、CyberPunkのベンチマークとした。

このサイト恒例(?)のサーキュレーターによる強制冷却

結果

1.TimeSpy


①の時点でスコアが3000を超え、過去の28Wの成績に比べて5%程度高くなった。7840u搭載機として標準的なスコアになったといえるだろう。②でもさらに上昇がみられた。
しかし③にするとさらに5%程度性能が向上する。十分に冷やすことができれば性能が1段階上がるといってよいだろう。15W時と比べると3割の向上となっており、GPUのクラスが1段階上がったともいえる。

2.FINAL FANTASY XVベンチマーク


①28W設定時でも前回実行時よりスコアが下がってしまった。②でGPUの設定を変更するとさらに低いスコアとなる。ところが③でサーキュレーターの上で実行すると20%近くスコアが上がり、前回の記録と比べても10%程度高速となった。やはり熱処理が問題になっているようだ。

3.CyberPunk

前回はテクスチャを低にしていたが、今回はテクスチャを中にしているため単純には比較できない。こちらも②にするとスコアは下がる。しかし③では性能が伸びている。最低FPSが10%近く伸びており、見ていてもスムーズになった印象がある。

まとめ
メーカー公認のオーバークロック設定にすることで、ベンチマークでは性能向上がみられたが、一定時間負荷をかけ続ける実際のゲームでは排熱が間に合わず性能が伸び悩む可能性もある。しかし、冷却をしっかりすれば性能向上の恩恵が享受できるだろう。据え置きで使うのならGPD POCKET2 改造! 放熱を改善するカスタマイズでGPD Pocket2にやったようにCPUクーラーと裏蓋をくっつけ、GPD POCKET2を100均の扇風機で冷却でやったようにそれを外から冷却するなどが考えられる。同じように裏蓋とくっつけてスマホ用のクーラーなどを張り付けてもよいかもしれない。
自分の場合、据え置きでゲームをする場合はGPD G1とつなげてしまうため、そこまでやらなくてもいいかな、と思っているが、冷却次第で他の7840uやZ1 Extreme機などと互角以上の性能を発揮させることも可能だろう。

※改めまして設定の変更は故障や製品寿命を縮める原因となる場合があります。実施については自己責任にてお願いいたします。