2023年登場予定のUMPCを比較する

※このページは適宜更新予定です。

2023. 11. 24 AYANEO KUN 追加 他更新
2023. 9. 9 Lenovo Legion Go 追加 他更新
2023. 5.16 ASUS ROG Ally 更新 GPD Winmax2(2023)追加
2023. 4. 3 AYANEO Slide、AYANEO Air Pro、GPD Win Mini、ASUS ROG Ally 追加

2022年は予定通りINTELのAlder Lake(12世代Core)とAMDのRembrandt(Ryzen 6XXX APU)が登場した。2022年のUMPCを比較するで自分の期待に比べるといずれもゲーム性能の向上幅は下回ったものの、Rembrandtは着実にGPUの性能が向上し、GPD Win3(Core i7 1195G7)ではやる気にならなかったゲームもGPD WINMAX 2(Ryzen 6800 u)なら実施できそうである。

2022年は複数のメーカーがRyzen 6800uを搭載したゲーミングUMPCをクラウドファンディングした。2023年の初頭にはこれらの一般販売が本格化すると共に、物理キーボードなど独特なギミックを持つバリエーション機が登場するようだ。

メーカーAOKZOEAYANEOGame Pad DigitalテックワンASUSGame Pad DigitalテックワンAYANEOLenovoGame Pad DigitalAYANEOAYANEOAYANEOAYNAYNAYNAYNAYNAYANEO
機種名A1 ルナホワイトAYANEO 2 GPD WIN4(2023)ONE XPLAYER 2 (Pro)ROG AllyGPD WINMAX2 2023ONE Xfly2AYANEO KUNLegion GoGPD Win MiniAYANEO AIR 1SAYANEO 2SAYANEO SlideLoki ZeroLOKI miniLOKI LOKI MaxLOKI MaxAYANEO GEEK
CPURyzen7 6800uRyzen7 6800uRyzen7 7840u Ryzen7 7640uRyzen7 6800u Ryzen7 7840uAMD Z1 Extreme (Ryzen 7840u カスタム) AMD Z1 (Ryzen 7640u カスタム)Ryzen R7 7840u Ryzen R5 7640uRyzen7 7840uRyzen7 7840u (5W-54W)AMD Z1 Extreme (Ryzen 7840u カスタム)Ryzen7 7840u Ryzen7 7640uRyzen7 7840uRyzen7 7840uRyzen7 7840uAthlon Silber 3050eIntel Celeron 7305 Intel Pentium 8505 (LOKI mini pro) AMD MendocinoAMD Ryzen 6600uAMD Ryzen 6800uAMD Ryzen 6800uRyzen7 6800u
MemoryLPDDR5-6400 16GB/32GBLPDDR5-6400 16GB/32GBLPDDR5-7500 16GB/32GBLPDDR5-6400 16GB/32GBLPDDR5-6400 16GB LPDDR5-7500 16/32GB/64GBLPDDR5-6400 32GBLPDDR5  16GB 32GB LPDDR5 7500Mhz 16GB LPDDR5-6400 16GB/32GB/64GBLPDDR5-6400 16GB/32GBLPDDR5-7500 16GB/32GBLPDDR5-7500 16GB/32GB/64GBDDR4 2400Mhz 4GB(空きスロットあり)LPDDR4 4266Mhz 8GB(Intel) LPDDR5 6400Mhz 8GB(AMD) LPDDR5 6400Mhz 8GB/16GB(AMD) LPDDR5 6400Mhz 16GB(AMD) LPDDR5 6400Mhz 16GB(AMD) LPDDR5-6400 16GB/32GB
記憶装置512GB~2TB1TB-2TB512GB/2TB/4TB512GB-2TB512GB 1TB-2TB1TB -2TB512GB/ 2TB512GB/ 1TB512GB/2TB512GB/2TB1TB-2TB512GB-4TBeMMC64GB+M.2 2230 スロット128GB128GB-512 GB512 GB512 GB512GB-2TB
画面サイズ8インチ(1920×1200)7インチ(1920×1200)6インチ(1,920×1,080)8.4 インチ(2560×1600)7インチ(1920×1080) 120Hz10.1インチ(1,920×1,200/2.560 x 1.600)7インチ(1920×1080)120Hz8.4インチ(2560×1600)8.8インチ(2560×1600)7インチ(1920×1080) 120Hz5.5インチ(1920×1080)7インチ(1920×1200)6インチ(1920×1080)6インチ(1280×720)6インチ(1920×1080)6インチ(1920×1080)6インチ(1920×1080)6インチ(1920×1080)7インチ(1280×800,1920×1200)
本体サイズ(mm)285x125x21約264.5 × 105 × 22.3~36.1220×92×28㎜310x127x23mm(ゲームパッド装着) 208×127×23mm(本体のみ)280 x 111 x 212 ~ 324mm228×160×23310x127x23mm(ゲームパッド装着) 208×127×23mm(本体のみ)312.4×132.5×21.9210×131×20mm(本体のみ) 299x131x41mm(ゲームパッド装着) 167×109×26mm224×89.5×21.6約264.5 × 105 × 22.3~36.1226 ×90 × 28.5~37.5??????????約264.5 × 105 × 22.3~36.1
本体重量668g・729g約660g598g709g(本体) 848g(本体+ゲームパッド)608g1005g599g950g680g(本体) 854g(本体+ゲームパッド)520g450g667g650g??362g??????約665
デジタルペン××××〇(Surface Pen)××××××??????????×
カメラ××××××××××××??????????×
バッテリー48Wh・65Wh50.25Wh45.62Wh65.5Wh40WH67Wh48.5Wh75Wh49.2Wh44.24Wh38Wh50.25Wh46.2Wh40.5Wh26.5Wh/40.5Wh(Loki mini pro)40.5Wh46.2Wh46.2Wh50.25Wh
拡張ボートUSB4.0 Type-Cポート×2 USB3.0 Type-Aポート×1 3.0 TF カードスロット(microSDカードスロット)Type-C(USB 4.0)×2 Type-C(USB 3.2)×1 microSDカードスロットUSB4×1,USB3.2 Type-C×1 、OCULINK ,MicroSDUSB4.0 Type-Cポート USB3.0 Type-Aポート 1×4.0 TF カードスロット(microSDカードスロット)USB Type-C, microSD(UHS-II), ROG XG Mobile InterfaceOculink(SFF-8612),Thunderbolt 4、USB3.2×3 SD+MicroSD PCIe gen4 solt×2 USB4.0 Type-Cポート×2 USB3.0 Type-Aポート 1×4.0 TF カードスロット(microSDカードスロット)USB4 TypeC×2,USB3.2×2,microSD,USB4 TypeC×2,microSD付け替え式グリップ(底面パーツ付け替え),ハードウェアキーボード,ゲームパッドType-C(USB 4.0)×2 Type-C(USB 3.2)×1 microSDカードスロットType-C(USB 4.0)×2,microSDUSB4.0,MicroSDMicroSD, ‘USB4.0(intel) USB3.2(AMD)USB4.0,MicroSDUSB4.0,MicroSDUSB4.0,MicroSDType-C(USB 4.0)×2 Type-C(USB 3.2)×1 microSDカードスロット
その他ゲームパッド、ジャイロスコープ,ターボボタン(ワンタッチTDP切り替え),キックスタンド,ジャイロスコープゲームパッド,指紋認証,音源連動振動機能,ジャイロセンサー,イルミネーションスライドディスプレイ、メカニカルキーボード、4G LTE(外付け)、ポインティングデバイス、ショルダーボタンイルミネーション、ドッキングステーション(Win3共用)取り外し式ゲームパッド(リモートコントローラー利用可),ジャイロスコープ,外付けキーボード、Harmanスピーカー               ROG XG Mobile対応,指紋認証,ゲームパッドゲームパッド,ゲームパッドカバー 、4G LTE、ThunderBolt4、バックライト付きフルキーボード,クァッドスピーカーゲームパッド,ジャイロスコープ,Harmanスピーカー               ゲームパッド,Windows顔認証,LTE,タッチパッド,カスタマイズキー,ジャイロスコープ,チルトスタンド着脱式コントローラー,2WスピーカーUSB4×1、USB3.2TypeC×1、Oculink×1、microSD、タッチパッド、ゲームパッドUSB4×2、microSD、指紋認証ゲームパッド,指紋認証,音源連動振動機能,ジャイロセンサー,イルミネーションゲームパッド、バックライト付きスライドキーボード・チルト式ディスプレイゲームパッド、ジャイロスコープゲームパッド、ジャイロスコープゲームパッド、ジャイロスコープゲームパッド、ジャイロスコープゲームパッド、ジャイロスコープゲームパッド,指紋認証,高精度振動モーター,ジャイロセンサー,イルミネーション
登場予定販売中販売中販売中販売中販売中販売中販売中販売中海外では発売クラウドファンディング中12月発売(先行予約中)2024年1月クラウドファンディング中??????????※予約受付停止中
参照URLメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトIndieGOGO公式サイトメーカーサイトIndiegogoメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイトメーカーサイト

全体観

面白そうなのは合体機構を備え、デジタイザまで搭載したONEXPLAYER 2(音質にかなり自信があるようで自分としては気になる) と スライドキーボード機構がついたGPD Win4・AYANEO Slideだ。高価格帯のWindowsハンドヘルドゲームPCの新しい潮流になるかもしれない。
Ryzen6800u機を持っている自分としてはAMD のMendocinoを使ったOnemixの軽量後継機を出してほしいが現時点では期待薄な模様(出すならONEXPLAYER 2同様スピーカー音質にこだわってほしい)。

現在見えている限りCPUはRyzen 6800u 一色で2023年の下旬までは大きな性能の変化はなさそうである。また、バッテリーなどの周辺技術にも革新的な変化はなさそうだ。
性能向上は2023年中に登場するといわれるAMDのPhoenix APUに期待したい。Zen3後継のZen4 CPUとRDNA2の後継のRDNA3 GPUを搭載するAPUでRyzen6800uの1.5倍以上の性能向上が見込まれるという。残念ながら金額も上がるらしいものの、単純計算でFireStrikeのスコアは1万越え、TimeSpyも4,000を超えるレベルとなれば、PS4 Proを超えるゲーム性能といえるだろう。そこまで行くと次のデバイスはVRゴーグルなど新しいステージに移りそうで、節目の年になるかもしれない。Phoenixの搭載機は今年の中盤からクラウドファンディングされて年末にぼちぼち出てくるぐらいだろうと予想している。

と、年初には予想したものの、Phoenixの性能はRyzen6800uの2‐3割程度の向上にとどまるようだ。ただ、この世界はCPU性能だけでなく、筐体の精度や魅力も世代ごとに高まるので新機種は楽しみになる。
新CPUの登場は年末ぐらいと予想していたが、以外にも早くRyzen R7 7840uやRyzen R5 7640u、そのカスタムチップのZ1Extreme、Z1が登場してきている。

個別機種

AYANEO Air Plusはクラウドファンディングが始まった。軽いは正義ということで、クラス最軽量を謡っている。ディスプレイサイズが同じでRyzen7 6800uを搭載したモデルではGPD Win4と比べて90g軽いということで持てばこの差は体感できると思う。ソフトな見た目も特徴で、部屋に置いても悪目立ちしなさそうなデザインも他の機種との差別化ポイントだろう。

AYANEO Slideは同様の機能を持つGPD Win4が先行したのでどうするのかと思っていたが、最新のAMD Ryzen 7 7840Uを搭載して巻き返すようだ。チルト式のスライドディスプレイを搭載してお披露目も近いものと思われる。

GPD Win Miniは現時点ではPhawx氏のYoutubeに詳しいが、GPD Win2の系譜のクラムシェル型ゲーミングハンドヘルドPCである。GPD Win2より一回り大きくなる代わりにディスプレイサイズは7インチに拡大する見込み。キーボードもタッチタイプはできないだろうがメカニカルキーボードが採用されていて使い勝手もよさそうだ。Phawx氏は7840Uのテストをしたのは別の機体でWin Miniには低消費電力版CPUが乗る可能性もある、と言っていると思うので表のCPUのところは空白にしてある。

ASUS ROG Allyはついに出てきた大手製のゲーミングUMPCである。AMDと共同で作ったカスタムチップ(Z1、Z1 Extreme)と専用のeGPU、ROG XG Mobileに対応している点が特徴だ。カスタムチップはAIアクセラレータ機能が削除されている点(低価格化のための差別化と考えられる)と、素の7840uでは15WからだったTDPが9Wからという特徴がありより低電圧で駆動させることでバッテリーの消費の抑制が期待できる。ネットに出ているベンチマーク結果を見る限り、ピーク性能はカタログシート通り、ほぼ同じといってよいようだ。また、120hzのディスプレイなど、大手ならではと思われるようなゲームに向けた仕様となっている。USB4のeGPUは何かと気難しいようなので、専用規格のROG XG Mobileのほうが高速なだけでなく安定しているものと期待される。UMPCとeGPUをそろえてゲーム環境をそのまま持ち出したい人には有力な選択肢になるのではないか。さらに、新興の中国メーカーの下を行くような値付けが行われており、大手の安心感と相まってこれまでUMPCはマニアックで敷居が高くて、という人にも遡及できる製品になっているといえるだろう。

GPD PocketからもRyzen R5 7640u、Ryzen R7 7840u搭載を搭載したPCとしてWinmax 2 のリファイン版がクラウドファンディングを始めている。こちらはただのCPU更新版ではなくOculinkポートを新たに搭載し、独自開発の外付けGPU(eGPU)のG1同梱版を用意しているところが特徴だ。OculinkはThunderboltポートやUSB4に比べて高速転送が可能なため、外付けGPUの性能をより生かせる可能性がある。これはROGのXG Mobileと同じようなアプローチといえるだろう。

大手メーカーのLonovoからはLegion Goが発表された。ONE XPLAYER のような着脱型のコントローラーとハンドヘルドとしては大型の8.8インチ液晶を搭載する。大手メーカーの選択肢も広がりつつあるということだ。個人的にはSurfacePen対応していたりハードウェアキーボードが用意されている点で、まだONE XPLAYERに面白みを感じる。ONE XPLAYERはスピーカー音質も定評があるので、大手メーカーの安心感や(たぶん)出来の良さのどちらをとるかということになると思う。

続けて様々なバリエーションを投入しているAYANEOからパッドモデルの全部入りのようなAYANEO KUNが登場している。Windowsの顔認証やタッチパッドなど様々な機能が盛り込まれているだけでなく、TDPが54Wとなっており、性能でライバルの一歩上を行くことが期待される。バッテリーも巨大なため、重量もあるが、ゲーミングUMPCのフラッグシップといえるだろう。

さて、Ryzen R7 7840uやカスタムチップのZ1 Extremeはグラフィック処理の演算性能が8.6Tflopsに達するとされている。演算性能だけ見ればPS5の9.5Tflopsに匹敵する数値だ。ただし、実際のゲーム性能は必ずしもPS5並ではないという点には注意が必要だ。各所のベンチマークの結果を確認すると、Ryzen 7840uやZ1Extremeの性能(確認したベンチマークではこの二つのチップの性能はほとんど変わらない)はせいぜいRyzen 6800uの2-3割増しで、PS4Pro並といったところだろうかーそれでも一時前を考えればすごい数字だが。
理由は諸説あるが、メモリの帯域がGPUボードやPS5で使われているSGRAMと大きく異なるため、というのが有力だ。
現在のすべてのUMPCはCPUにGPUが同居するAPUを心臓部にもち、システムが使用するメモリとグラフィックメモリを共用する仕組みをとっている。メモリのタイプは最新のDDR5を採用するのが一般的だ。この方式は実装面積を小さく抑えたり実装コストを下げられるというメリットがあるものの、DDR5 のデータ転送帯域は50GB/s 程度なのに対し、PS5のSGRAMは450GB/s近くに達する。最近のGPUボードのSGRAMでは1TB/sを超えるものまで出てきているほどだ。APUの性能が上がってきた結果、演算性能ではないところにボトルネックが発生したのである。このことはASUSの参入自体を含めて各社の戦略に影響を与えているように思えるので、次の記事に自分の考察を記載してみたい。