GPD Pocket3開封レビュー 理想形にまた1歩近づいた2022年最初のUMPC

唐突に迅速にGPD Pocket3が配送された。クラウドファンディングを開始したのが2021年の11月だったので、届くのはせいぜい2022年の1月下旬、2月ぐらいに届けばいいかなと思っていた。ところが2022年の1月に入って早々に出荷の連絡が来て、それからすぐに手元に届くこととなった。自分の理想の重量(500g台)より重くぶ厚いこともあって、あまり期待をしていなかったのだが、届いてみると期待を上回る機体だった。

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※ 最初の設定:GPD Pocket3 最初の設定(新しい画面で開きます)

今や貴重な普通の形状の(?)UMPC

GPD社やその競合製品の中で昨今勢いがあるのはGPD WIN3One XPlayerAYANEOなどのゲームパッドをつけたハンディゲーム機タイプであって、一般的なPCタイプはGPD P2MaxやOneMix4のようにディスプレイサイズとともに筐体が大きくなる傾向にあった。10インチのディスプレイを搭載しているOneMix4などはすでにUMPCの規格外にいる印象である。 実用性を追求すると画面は大きいほど便利なのは間違いなく、「より大きな画面を」というユーザーの要望を汲み取れば妥当な進化なのではあるが、小さいPCが好きな自分のような人間にとっては今一つ魅力が感じられないものになっていた。しかし、ここにきてGPD社はダウンサイジングした上でデジタイザへの対応やユーザーの利用用途に応じた切り替えモジュールなど新しい要素を取り込んだ新機種としてGPD POCKET3を発表した。重さには不満があるものの、今回もクラウドファンディングに応募した。応募したのはCorei7-1195G7を搭載し、各モジュールが付属するモデルである。GPD Pocket3が届いたのは都内に大雪警報が出される非常に寒い日で、降りしきる雪の中届けてくれた佐川急便の配達員さんには感謝である。

まずは梱包に驚く

さて届いた箱をあけてみると 一切の梱包材が入っていない。 確かにSDGsなどの観点からすれば梱包材を省くのが理想なのだろうが、さすがに10万円もするような機械が化粧箱のまま外箱の中に入れられていて、遊びがあって自由に動き回れる状態で運ばれるのはちょっと怖いような気もする。とは言え同梱品を含め特に問題は認められなかった。

梱包材は入っていない。中で動き回れる状態
一目でわかるような破損はなかったので一安心

外観チェック

スペックはメーカーのWEBサイトをご確認いただければと思うが、手に取ってみると想像していた以上に軽く感じる。GPD WinMaxも持っているのだが150gの違いで印象は大きく異なるようだ。また、写真からはあまり期待していなかったのだが、質感が良く高級感を感じる。若干紫がかったガンメタリックといった感じで光の加減によって色合いが微妙に変化する。これから一般量販店に並ぶ機会もあると思うので、気になっている人は現物を確認してみていただきたい。持った時の感触も好印象である。手に取ってみると各縁や角の部分がきれいに丸められていてしっくりと手になじむのだ。後で問題に気づくものの、この時点では自分が最も懸念していたヒンジの強度も問題とは感じなかった。公式のTwitterでは10万回稼働させる機械テストで損傷率は5%未満というだけあって、ヒンジはしっかりしてちょっと力を加えたくらいで簡単に折れてしまうような印象はない。 また自分が想像していたよりは回転ヒンジが太いような印象がある。

良い色合いなのだがわりにくいような気がする
左側面
右側面
後ろ側。有線LANコネクタを配すると厚みが必要となる
年季の入ったGPD Pocket2との比較。2回りほど大きい。
GPD WinMaxとの比較。幅が多少短い
サイズや重量が最も近いOne Mix3との比較。幅はOne Mix3が広く、奥行きはGPD Pocket3のほうが長い
180度まで開くことができる
タブレットモード
ヒンジ部分。思ったよりしっかりしていたが…
実測730g 重さも公称値との乖離が小さくなってきた。

起動して使ってみる

右上のタッチパッドは指の滑りがよく精度も高いので、気持ちよくカーソル操作をすることができる。微小な移動にも追従し、狙ったところをしっかりクリックできる。左側のマウスボタンはサムグリップでもホームポジションに手を置いた状態でも、他のボタンに干渉することなく押せる。キーボードの感触はGPD WinMaxと大きくは違わない印象であった。キー配置に関しては長音などが2重になっているため、慣れが必要だろう。ただし、右上にタッチパッドを配するのは、ノートパソコンが薄型化しキーストロークが浅いアイソレーションキーボードが一般的となった現在ではホームポジションからの手の移動が小さくてすむむしろ理想的な構成ではないかとさえ思った。左利きの方との相性は悪いのかもしれないが…。指紋認証も登録したが精度は問題なく、電源ボタンと一体化したことも相まってこの点でもユーザビリティが優れている。

タッチパッドは滑りもよく、挟み込むように握った時に親指でのアプローチが容易

自分は気にしているポイントの音質だが、これもよい意味で予想を裏切られた。GPD Win3と同じスピーカーが使われているようだったので、ほとんど期待していなかったのだがYoutubeで音楽を聞いてみるとGPD Win3とは雲泥の差がある。Envy X360に比べるとだいぶ及ばないが、各音がグチャっと纏まらず、個々の楽器の音を聞き分けることもできるようになっている。問題は低音がほとんど出ていないというところだろう。エージングが進むと少しは変わってくるかもしれない。

GPD製品としては恐らく初めて搭載されたデジタイザも文字を書く分には何も問題がない。古いバージョンのSurfaceペンと書き比べてみたが、精度に違いは無いようだった。

タブレットモードでできるだけ小さな文字を書いた。上がSurfaceペン、下がGPD Pocket3付属のペンである。
絶望的な自分の字の拙さはともかく、かなり小さな字を書くことができる。

気になる点はやはりヒンジ

ディスプレイは左回りに回転するので、開く時には左端、閉じるときには右端に力を入れがちである。しかし、これを何回も繰り返していたところセンターが合わなくなってしまい。写真のように、もっとも左側にまわした時にまっすぐではなく、若干左側に回った状態になってしまった。ディスプレイの端を持って開け閉めすることは避け、真ん中部分を持って開いたり閉じたりした方が良いのかもしれない。

右側に力を入れてしめるとたわむ
本来回らないはずの左側へ5度ほど回っている。実用上問題はないが気にはなる。

また、スピーカーの音質が思ったより良いと述べたが、サムグリップ方式で両方から手で挟みこむとスピーカーの穴を完全にふさいでしまい、音が聞こえなくなる。このため、両側から持ってウェブを見ているときにスピーカーから音を鳴らすためにはちょっと持つ場所をずらすなど若干不自然な持ち方にせざるを得ないことがある。スピーカーの穴を左右側面ではなくて前面の右と左につければ。このような問題は起きなかったのではないかと思うのだが…。

こう持つとスピーカーホールを完全に覆ってしまい音は聞こえなくなる。

ここまでの総評

気になる部分もあるが上に高級感があり、持ってみればシックリと手に納まる感じも良く、積極的に持ち出したくなる機体であった。自分なりのいつもの設定や気になるポイントを確認して、より詳細に見て行きたいと思う。

そのままの状態でFireStrikeを実行するとこのような結果となった。伸びる余地は大きいと思われ

追記
ペンのパッケージを捨てようと思ってよく見たら替え芯がついていた。

芯を抜くための器具があったので探したのだが捨てなくてよかった。