2026年登場予定のUMPC(ポータブルゲーミングPC)を比較する

このページでは、2026年に登場しそうなUMPC(ゲーミングハンドヘルドPC・ポータブルPC系)を、発表・予告・噂の段階からまとめていく。新情報が出たら随時追記していく。
(※発売時期やスペックは直前で変わることが多いので、購入前は必ず公式情報も確認ください)

2025年のUMPC市場を振り返り

2025年は、UMPCが 主要メーカーも本腰を入れて競うカテゴリへ、もう一段進んだ一年だったと思う。

自分としては大型化は歓迎できないが、画面サイズは8インチ以上の製品が目立つようになってきた。

性能を左右するAPUは、AMDの Ryzen AI 9 HX 370Ryzen Z2 / Z2 Extreme が中核だったが、GPU性能は(前世代のRyzen 7 8840Uに対して)体感で2〜3割程度の伸びに留まった印象で、2025年の中盤までは「大きな世代転換」は起きていなかった。

しかし終盤、Ryzen AI Max+ 395(Strix Halo) を搭載し、(ベンチ換算では)PS5クラスを狙える性能を携帯筐体に持ち込んだ GPD WIN 5 の登場で、UMPCの位置づけ自体が変化したように感じた。

ただし、バッテリーと冷却技術に革命が起きたわけではない。Strix Haloは真価を発揮するために 高TDP運用(例:50W以上) が必要になり、発熱とバッテリー問題は2026年も継続する課題だ。

形態としてはおなじみとなったPSP的なゲームデバイス型、OneNetBookのタブレット+ゲームパッド+キーボードのような合体型、一般的なノートPCに近いクラムシェル型に大きく分かれ、市場的にはゲームデバイス型が中心である。

2026年の予想

1) 性能は「ほぼ十分」になってきた。問題は「どれだけの電力でそれを出せるか」

UMPCの重要な要素である性能・重量/サイズ・価格の観点において、CPU・GPUの性能的には携帯機の枠を超え、カンストしたといっても言っても過言ではないだろう。Ryzen AI Max+ 395の性能はTDP120W時のTimeSpyスコアで12000を超えるとされており、PS5の2割増ぐらい(PS5の性能をTimeSpy9500程度と仮定)との想定している。ディスクリートGPUを搭載せずにこの性能が実現され、GPD Win5等のコンパクトボディにも収まるとはちょっと前は想像できなかった世界である。ほとんどのゲームタイトルでHD解像度・高画質設定で60Fps程度を期待でき、VRなどもそれなりに回せるはずだ。つまり7インチから10インチの小型ディスプレイを前提としたUMPCでは性能向上の必要性は下がってきたと感じる。

2) AMDは「小幅更新」、Intelは「効率で伸びる可能性」

性能を発揮するためのエネルギー効率は放熱や搭載バッテリーの重量に影響する。

エネルギー効率の面で大きな影響があるのはやはりAPUだ。Ryzen AI Max+ 395の性能はRyzen™ AI 9 HX 370やZ2 Extreme等の3~4倍と高いものの、消費電力もやはり数倍必要なため別格といえる。2026年はRyzen™ AI 9 HX 370やZ2 Extremeの純粋な後継としてAMDの Ryzen AI 400(Gorgon Point)が予定されている。ただ、こちらはHX370の焼き直しで実行性能10%程度の性能向上に留まるようだ。

ではIntelはどうか。こちらはCore Ultra 300(Panther Lake)シリーズの投入が予定されている。公式発表ではLunar Lake(Core Ultra 7 258V等 Intel Arc Graphics 140V)に比べて同一TDPでiGPU性能が5割程度性能が高いという。それが正しければTimeSpyのスコアが25W-28Wで6000程度になると予想される。これは既存のUMPCの路線の延長として魅力的な領域である。

3) LPDDR6が期待材料。ただしUMPCへの普及は後半か
また、2026年にはLPDDR6搭載機が登場する可能性が示唆されている。LPDDR6は性能の向上と消費電力の低減がうたわれており、上記の両方に関係する可能性がある。とはいえ、UMPCに搭載されるのは年末か年が変わってからだろう。それ以外のバッテリーや冷却機能については技術革新といえるものは少なそうである。

4) 価格とメモリの懸念

Ryzen AI Max+ 395は30W程度といったこれまでの高性能UMPCがターゲットとしてきたTDPでもそれなりに動くようだが、それ自体が高価であるためおいそれとは使えないようだ。また、メモリ騒動による製品価格の高騰は課題となるはずだ。結果的に製品投入が控えられ、市場拡大のブレーキになる可能性はあるだろう。

5) 全体像の読み

年初はAMD Ryzen™ AI 9 HX 370やAMD Ryzen™ Z2系の2025年度に発表・発売開始された製品が市場に供給され、そこから2027年登場予定とされるのAMD のMedusaを見据えた動きになるだろうと予想している。それに対して電力効率に優れているとされるIntelのPanther Lakeが存在感を出せるか、がポイントになるのではないか。また、AcerやASUS,LENOVOといった大手メーカーがRyzen AI Max+ 395搭載UMPCを出すか、も注目したい。

個人的にはGPD MicroPC2が気に入ったので、APUを強化し、USB4とデジタイザ対応したホーム仕様バージョンが出ればよいなーと薄い望みを抱いている。

以下では発売やクラウドファンディングが告知されているUMPCについてメーカーごとに記載する。


ONE-NETBOOK

クラウドファンディングサイトIndieGOGOでONEXFLY APEXの出資を募っている。本稿執筆時点で残り6時間ということだ。GPD Win5と同様にバッテリーをデタッチャブルにした構成でGPD Win5に比べるとディスプレイが8インチと大きい。重量は本体だけだと699gとなっている。

さらに特徴的なのが、外付けの追加冷却(外部クーラー)を用意している点。空冷運用に加えて、外部冷却込みでより高いTDPを狙う設計は、これまでのUMPC(というかノートPC)の常識から一段踏み込んだアプローチだと思う。バッテリーだけだとTDP55W、AC接続で80W、追加放熱器で120Wの運用が可能になるようだ。

AYANEO

AYANEOでもRyzen AI Max+ 395を搭載したAYANEO NEXT 2が発表されている。詳細仕様や発売時期は不明だが、9インチのOLEDディスプレイを搭載予定とされる。こちらはGPDやOne Netbookと異なりバッテリーを内蔵する構成になるようだ。

メーカーONE-NETBOOKAYANEO
機種名ONEXFLY APEXAYANEO Next II
CPUAMD Ryzen AI Max+ 395AMD Ryzen AI Max+ 395
MemoryLPDDR5 8000Mhz 32GB/64GB/128GB
記憶装置1TB、2TB
画面サイズ8インチ(1920×1200) 120Hz9.06インチ(2400×1504)60Hz~165Hz(変更可能)
本体サイズ(mm)290.15×123.5×22.5(本体のみ)
本体重量699g(液冷バージョンは+60g)
デジタルペン×
カメラ×
バッテリー85Wh(着脱可能)
拡張ボートUSB C-4.0×1,USB-C3.2×1,USB A×1,microSD,MiniSSD
その他着脱可能バッテリ,指紋認証,スタンド、外付液体冷却,Harmanスピーカー,2段階ロック式トリガータッチパッド×2,2段階ロック式トリガー
登場予定クラウドファンディング中
参照URLIndiegogoメーカーサイト