これはCool !? GPD WINMAX2の冷却を強化する改造

冷却ファンのノイズが気になりだした今日この頃。暑い夏に向けて、冷却機能の強化を試みた。
結果、冷却効果が向上しファンの回転も抑えられている。一方、残念ながら冷却機能を強化しても性能の向上は見込めないようだ。

※改造を行うと不可逆な故障が発生することがあります。実施については自己責任にてお願いします。

性能についてはほとんど文句なしのGPD WINMAX2だが、音について不満が高まっていた。
スピーカーの音ではなくファンの騒音である。ホグワーツレガシーやCyberPunk2077などヘビーなタイトルをプレイするときなどはMotionAssistantから30Wにすることが当たり前となっていることもあり、そのあとはWEBを見ていても一生懸命ファンが回っている。冷却を強化することで対策を試みた。

1.やること

やりたいのはGPD POCKET2 改造! 放熱を改善するカスタマイズで行ったように筐体に熱を逃がす対策である。
GPD WINMAX2は手でもってゲームプレイをするために、筐体の底面はプラスチック製で熱が伝わらない仕組みになっている。自分の場合、パッドでゲームをする機会はほとんどないので放熱を優先したい。CPUからの発熱を底面に拡散させることで発熱を抑えファンの回転を下げられるのではないかと考えた。
Youtubeなどを見てGPD WINMAX2の内部構造を確認する。GPD WINMAX2はGPD Pocket2に比べてCPUのヒートシンクが底面と離れているので、ここを埋める対策が必要そうだ。
また、せっかく中を開けるのでCPUの放熱グリスを交換する。

※この改造を行うとパッドの蓋が収納できなくなります。

2.購入したものと準備

  • アイネックス ナノダイヤモンドグリス JP-DX1
  • Thermalright シリコンサーマルパッド(2mm,1mm)
  • ワイドワーク T-Global製グラフェン銅箔熱伝導シート

Amazonで購入したこれらの品が届いたら分解する前にBeforeAfterを確認するためにTimeSpyを行い、スコアとCoreTempで温度を確認した。パターンはTDP28W版と30Wのオーバークロック版である。

PCは使っているといろいろなアプリやサービスが入ることで老廃物がたまるかの如く性能が落ちていくものだと思っている。ドライバが更新される際に安定性が上がる代わりに性能が下がる場合もある。購入時点より性能が上がるというパターンはほぼないという印象である。
最後に比較しているが、今回もその例にもれず購入時点のベンチマークのスコアを超えることはなかった。

3.分解

それでは分解していく。LTEモジュールのコネクタをあらかじめ外しておくこと以外、難しいことはない。しかし、ねじは非常に小さいのでなくさないようにしっかりどこかに集めておきたい。この後やりたいことでもねじは重要なのでしっかり取っておく。

次にファンのねじを外し、CPUのヒートシンクを外す。

LTEのコネクタを外しておいたほうが良い(自分は失念していてマザーボード側のコネクタが蓋を開けた時にはがれた)
裏蓋を開けたところ
ファンとヒートシンクを外す。ヒートシンクは放熱器部分が基盤と干渉するので基盤を壊さないように丁寧に外す。
CPUのグリスをふき取る
JP-DX1を塗布 温めておいたからよく伸びて塗りやすい

ヒートシンクが外れたらCPUに塗られているグリスをふき取る。CPUにダメージが入ると一巻の終わりだが、グリスが残ると新しいグリスの効果が薄れるので綿棒などで丁寧に、しかししっかりとふき取る。
そのうえで新しいグリスを塗る。掲示板にはお湯で温めておくとよいとあったのでそれに従った。

お湯がたれたりすると、やはり一巻の終わりなので特に注意が必要である。

次にグラフェンシートを蓋側に貼り、放熱シートとする。写真を撮り忘れたが、蓋は凹凸があるのでシリコンサーマルパッドで埋めて蓋とグラフェンシート、この後のヒートシンクに貼ったシリコンパッドが密着するようにした。

グラフェンシートを蓋の裏側に貼った。凹凸にはシリコンサーマルパッドを詰めて蓋とグラフェンシートが密着するようにしている


この蓋とCPUを密着させるため、シリコンサーマルパッドを積み重ねる。蓋がシリコンサーマルパッドにあたって閉まらなくなるところが目安である。
これを上から押しつぶすようにして閉める。このとき、LTEケーブルを外に出すのを忘れずに。つぶした後でまた開けてしまうと密着度が下がることが懸念される。
ねじが重要なのはこのためで、密着させるためにしっかりすべてのねじを締める必要がある。ねじだけで締めると舐めてしまうので、手で蓋を押しながらねじを止めていく。

2mm×3枚でグラフェンシートと密着。1mm厚のシリコンサーマルパッドは使わず。

大体90分程度で作業が完了した。

動作確認を含めてベンチマークと温度を確認する。

4.動作チェックとベンチーマーク

素直に起動してくれれば一安心だ。CoreTempでベンチマーク時の温度を測って、事前に取ってい置いた結果と比較した。この時点で起動時のファンの音は小さくなっており、効果が期待される。

冒頭記載の通り、MotionAssistantでTDPを28Wと30Wにセットしたパターンでテストを行っている。Normalが改造前、Customが改造後の結果である。28W版はずいぶんと実行時間に差が出てしまったものの傾向は見える。
改造前は90度を超えていたものが改造後は80度台で収まっている。
より顕著なのはTDP30Wのパターンで、明らかに改造後のほうが温度が下がっている。

これだけ温度が下がるのであればひょっとしてスコアも大幅に改善するのでは…と思ったが、そう都合よくはいかないようだ。そうはいってもよいスコアになったのはいずれも改造後だったので、若干だが性能にも影響はあるのだろう。※奇しくも購入直後に行ったテストよりと同じスコアとなった。

結果的として改造は成功で、ファンの音は抑えられており快適さが大幅に高まった。

平均して7,8度は下がっているだろうか。かなりの効果といえるだろう