HDDを修理した話

外付けHDDボックスのACアダプタを間違えたためにHDDを破損させた。バックアップ用に購入してあったHDDを部品取りにして修理を試みた。

今回修理したのは特殊な壊れ方(壊し方)への対応です。異音が出て内容が読み取れないとか内容が消えてしまったといった故障に関しては別の対応方法をご検討ください。また、分解をすることで、製品の保証が受けられなくなる可能性がありますので試される場合は自己責任でお願いいたします。

HDDの故障は場合によっては人生10大悲劇にカウントされるぐらい衝撃的なことではないかと思う。最近ではデータをクラウドに保存するのが一般化しているがTBクラスになると年間費用が1万円を超えてくる。それだけあれば十分だという方も多いだろうが、自分の場合、HDDに考えなしに保存していたこともあり、かなりのバックアップ容量がある。データやファイルの重複も多いはずだがそれを調べるのも億劫なため、汚部屋状態をエスカレートさせつつ、20年近く使ってきた。

ここ2,3年はクラウド保存が安価になってきたこともあってあまり記憶領域は増えていなかった。ただ最近、ラジオの録音が趣味になっているので、定期的にHDDに書き出している。

簡単になったラジオの録音とデータの膨張問題

コロナ禍になるまで出張が多かった。他の地域に数か月通うことも多いため、その土地土地のローカル放送を聴くことが多く、転じてラジオをよく聞くようになった。(半年前、ピートのふしぎなガレージが終わってしまったことは本当に悲しく思っている)
各地で聞いて気に入った番組はそこから録音が始まるといった状況で、日々データは増えていく。使用しているのはRADIKO(有料会員)+らじれこである。実際には録るだけでほとんど聞いていないので、自分が90歳ぐらいになったら録りためた番組を片っ端から聞こうと思っている。そこからだと一生かかってもすべては聞き終わらないだろうが、ひそかな引退後の楽しみである。現在使用しているHDDは3.5インチの4TBのWestern Digital製BLUEで、外付けHDDボックスにいれて使用していた。

使用していた外付けHDDボックス

注意一秒、ケガ一生

さて、先日もある程度たまったデータを移動させようと外付けHDDボックスとPCをつなぎ、外付けHDD用のACアダプターを探したが見つからない。テレワーク期間中にちょっと模様替えをした際にどこかに行ってしまったようだ。探し続けたところ、コネクタが合うものがあった。何の気なくそれをつないで起動したところ、ドライブの内容が確認でき、その数秒後に電源が落ちて、二度と起動することはなかった。
なんとなく思うところがあって改めて探したところ、コネクタが合うACアダプタがもう一つ見つかった。こっちだったのだろうか…。

機材と対応

こういう時に慌ててとっかえひっかえ試してみることは悪手だと経験則で分かっている。もしかしたら外付けBOXの故障かもしれないが、不正な電流が流れて壊れたと想定して動いたほうが良い。というわけで、以下の対応策を考えた。

  1. HDDが修理可能か確認する。
  2. 新しい外付けHDDボックスと替えのHDDを調達する。

1.HDDが修理可能か確認する。
じつは、自分はHDDを購入するときは同じものを2台購入して動作の確認をしたうえで、1台は寝かせておく。だったらRAIDを組めばよいという話もあるが、RAID1のミラーリング構成でもコントローラーや片肺の破損でもう片方のデータが読み取れなくなることもあるようなので過信はできない。だったら場所も取らないし、1個ずつ使えばいいかな、と考えていた。

今回は過電流が原因と考えられるので故障したのは基盤部分のみという望みがある。そうであれば基盤部分を交換すればデータをレスキューすることができるだろう。もしかしたら壊れたのはUSBボックスのみで、HDD自体は壊れていない可能性もある。

ところで、自分がSSDではなくHDDをバックアップ媒体にしているのは、費用面はもちろんだが、HDDのほうが「壊れる予兆」があるからだ。ある日突然使えなくなったHDDは今回が初めてかもしれない。これまで何台もHDDの故障は経験しているが、落としたりしない限り、異音がしたりドライブの内容がたまに読めないといった現象の後で使えなくなる。一方、SSDは仕事用を含めて3台の破損を経験しているが、いずれも予兆が全くなかった。だから、特にバックアップ用にはHDDを使用することにしている。

さて、HDDの基盤を確認するとヘックス型のねじが使用されている。他の用途で使おうと思っていたツールキットが役に立ちそうだ。

HDDの基盤部分。星形のヘックスローブが使用されている。
別目的で入手していたマルチツールで対応。こんなものが2000円程度だとは本当に便利になりましたな。
購入しておいたWD Blue HDD(4TB)

②新しい機材の調達
あやふやなまま発見した外付けHDDボックス用のACアダプタを使ったりはしない。今回はORICO 3.5インチ ハードディスクケース(9548U3-BK)と、Western Digital HDD WD Blue(6TB) WD60EZAZ-ECを2台購入した。

2基でもよかったのだが、6TBのディスクにすべてを集約させて汚部屋状態の解消を目指す。
6TBを2台購入

故障の確認と修理

購入したORICOの9548U3-BKに使っていなかったほうの4TB のWD Blueを入れてみるときちんと動作が確認できた。一方で破損したほうは認識されない。やはりHDDが壊れているようだ。壊れたHDDと買い置きのHDDの基盤を本体から取り外し、交換することにする。星形のヘックスローブはサイズが異なるとなめやすいのでよくサイズを確認したほうが良い。今回使用したのは5番であった。

壊れたほうの基盤を外したところ。買い置きのHDD側も基盤を外し、交換する。

さて、基盤を交換したHDDを9548U3-BKに装着し、電源を入れてみると…。無事HDDは認識され、データは無事だった。この後で全てのデータを両方の6TBのWD Blueに移し、片方はまた寝かせておく予定である。
9548U3-BKは机の下に置いておくことにしたが、静かでともすれば電源が入っていることを忘れてしまう。自分としては普段は使わないものなのでもっと主張してくれてもよいとさえ思う。また、ACアダプタではなく100Vの電源がそのまま使えるので今回のような失敗を繰り返さないで済みそうである。

後で分かったのだが、実は使っている容量は1.5TBに満たなかった。余裕をもって4TBを使い、どれだけ空き容量があるかもわからないまま、さらに余裕をもって6TBを購入してしまったようである。スカスカ状態なので、両親が録ってくれた子供時代のHi8やDVムービーのデジタル保存でもしようかな、と考えて機材を物色中である。また出費がかさみそう…。

今回はうまくいったが、人生レベルの悲劇になりかねないのでHDDの扱いは慎重を期さなければ、と気を引き締めたのだった。

※すべての事象に対してこのやり方が有効とは限りません。安全のためにはプロへの委託をお願いします。