マスクの夏を乗り切るパーソナルクーラー REON POCKET レビュー

コロナウィルスの状況は予断を許さない状態だが、緊急事態宣言が解除され、出社する日も出てきている。マスクの着用は必須だし今年はあまり外に出ていなかったこともあり、体が暑さに慣れていないため普段よりつらい。自分はそもそも暑がりで汗っかきなので、何か良い対策を、と探していたところSONYから「着るクーラー」REON POCKETが発売されるというニュースが出ていたので購入してみた。

昨年はハンディ扇風機がヒットしたようだが、アクティブに体を冷やす道具としては空調服など様々な製品が出てきている。ただ、自分にとって暑さが最も課題となるのは出社する時なので嵩張るものや手がふさがってしまう製品は選びにくかった。しかし、Sonyが発売したREON POCKET(レオンポケット)は完全にシャツの中に隠れそうに見え、ちょっと試してみるつもりで購入した。

原理

REON POCKETはペルチェ素子という熱交換器で接触面を冷やすことで物理的に体を冷やす機能を備えている。
ペルチェ素子は電力をかけることで一方の熱を他方に移動させるという特性がある。これは電流の方向で切り替えることができるのでREON POCKETは接触面を冷やすことも温めることもできるのである。


※7/4 リンクを張っておいてなんだが、品薄のため値上がりしている様子。購入の際はご注意ください。

購入

まずは本体である。コンパクトで洗練された外観で重量もほとんど感じない。長時間身に着けていても負担に感じることは少ないと思われる。コントロールはBLUE TOOTH連携したスマホですべて行うようになっているため、インターフェイスはペアリングと電源を兼ねたボタンが一つあるだけだ。

次に専用のシャツを見てみる。

今回は専用のシャツを2枚購入した。シャツは1枚1,980円ということでREON POCKETの本体と合わせると17,000円にもなってしまう。

自分は勢いで買ったが、この価格感は多くの人が購入をためらってしまうのではないだろうか。
※などと書いたら売り切れ御礼らしい。皆さんボーナスたくさん出てるんですかね…。

シャツには首のところに穴が開いたポケットがついていて、ここにREON POCKETを入れる仕組みになっている。背中に冷却面が当たり、後ろ側から放熱する機構である。金額が高いと書いたが、この部分を作るのに手間がかかるだろうから消耗品収益モデルによる暴利とまでは思わなかった。

背中側に向かって吸気の穴が開いている。この後ろにゆとりを持たせたり風通しを良くすることがポイントになると思う。
背中側
REON POCKETを入れてみたところ(背中側) こちらは吸気が行われる
冷却パッドが背中に当たるようになっている

実際にシャツを着て、REON POCKETを入れてみた。シャツは伸縮性が低くて若干着にくい印象だったが、着てしまえば特に違和感は感じない。ここにREON POCKETを入れてみると以下の写真のようになる。前述のように軽いが、シリコンが背中に当たる感触は何か当たっていることは感じられるが違和感とまではいかない。この上からシャツを着ると外からはほとんど身に着けていることに気づかれることもないと思われる

伸縮性の低さはREON POCKETを入れても下に垂れ下がらないようにするためかも
目立たないが、よく見ると何かありそうな感じではある

REON POCKETの操作はスマホのアプリから行う。アプリからは接触面の冷たさとその冷却と送風を行うファンの強さを調節できる。また、冷却の強さにはBoostモードがついていて、2分間だけ冷却力を強化することができる。

スマホによってパッドの冷たさと送風の強さを調節する

利用

ちょうど出勤しなければならない用事が出来たので、REON POCKETを身に着けて出社してみた。気温は24度とそれほど暑くはない日だったので意識的に一生懸命歩いてみた。駅までは10分ほどあるので通常なら汗だくになるはずのところだ。REON POCKETは冷却を3段階目、風量も3という通常利用では最強の状態にした。家の中ではそれなりに音がするがシャツの下に装着していることもあり、外に出てしまうと気にならないレベルになる。

はじめは背中に冷たいものが当たる感触があるものの、自分が一生懸命運動しているとその冷たさはあまり感じられなくなる。それでも駅に着いたときには明らかに発汗量は少なかった。ファンは2に落とし2分間の強冷却モードにして電車に乗り込む。「背中に何かあるな」ということは意識するものの特に不快ということはなかった。

自分の会社の最寄りの駅から会社までも10分ほどある。ここも強度3、風量3で早歩きで歩いてみた。到着時点での発汗はやはり抑えられている。

多くがテレワークをしているオフィスの中では風量3だと音がそれなりに気になる。執務室に入ってからは冷却を2、風量を1に落として体が冷えるのを待ってスマホからOFFにした。

この時点で電池残量が半分になっていた。帰りも同じように使用したところ、駅から家にたどり着く前に電池切れとなってしまった。稼働時間は2.5時間という印象である。

所感と課題

REON POCKETを使うか使わないかで発汗量が変わる。更に身に着けていても目立つこともなく不快感もないという点は優れていて、これから暑くなるのがちょっと楽しみなぐらいである。

一方、電池容量の少なさは外回りをするようなヘビーユーザーには課題になるだろう。ヘビーな運用をするのであればモバイルバッテリー+充電中に使用するもう一台という構成にしないと厳しいかもしれない。

基本的には自宅と駅、駅から会社ぐらいの移動があって、そこで汗をかきたくない という人向けの製品なのだと思われた。

同じ原理はサンコーのネッククーラーなどにも使われている。バッテリー駆動時間はともかく、効果は感じられたのでネッククーラーも揃えて万全の態勢で夏を迎えようかと考えている次第である。


なかなか良いのだけどモバイルバッテリーが別途必要なのが難点か

注意点として、ずっと強運転をしていたところ背中にしびれが出た。同じところが冷やされ続けることで血流が悪くなるからだと思うが、肩こりなどがある人は注意したほうが良いかもしれない。