自分の勤める会社の服装規定が大幅に緩められた。この機にジャケット×Tシャツというスタイルで涼やかに夏を走り抜けよう、と思い立ったものの、おっさんにはTシャツのチクポチ問題とジャケットの襟の汚れ問題が突きつけられる。しかし、今どきはジャケット用のTシャツをはじめとしたアイテムが複数発売されていたため、見つけたものを購入して比較してみた。
オリンピックを間近に控えた昨今、新型コロナウイルスの陽性患者数の推移は相変わらず予断を許さない状況にある。しかし緊急事態宣言解除の流れを受けて、出社制限が徐々に緩和されてきた。
このコロナ禍において業務はもちろんのこと、通勤を始めとして今まで「どう考えても非効率なのに…」と多くの社会人が思いながらも、突き破れなかった慣習が見直される機運が出てきている。自分が勤めている会社でも、スーパークールビズということで服装の規約が大幅に改定された。昨年からは通年を通してノーネクタイでよくなったし、今年の夏からはジーンズやTシャツ・ポロシャツでの出社が可能になった。これまでは少なくともスラックスとワイシャツは夏でも必須だったのだ。
自分も「夏はこんなに暑いのに長袖のシャツを着て毛糸のスラックスを履いて出かけるとか意味不明」などと愚痴をこぼしていたタイプなので、この改革は素直に喜びたい。ただ、出社してみると多くの同僚はこの規約改定を歓迎しながらも、まだ様子を見ている状況で、Tシャツとジーンズというスタイルは見かけない。しかも、いざそうなってみると会議室は意外と寒かったりしてTシャツ1枚では夏でも冷え込むのではないか、という懸念も感じる。暑い時にはできるだけ涼しく、場合によっては何か羽織ることができるというスタイルが良さそうだ。そこでチノパン+Tシャツ+ジャケットというスタイルを検討した。
ただ自分のようなおっさんにとって。超えなければならない課題が少なくとも2つある。
1つは乳首の透け、チクポチの問題。もう1つは襟の問題である。
1.透けたりぽちったりする乳首への対応
ちくぽちの問題は自分のような中年太りが始まったおっさんがTシャツ1枚だけで生活した場合、乳首が妙に目立ってしまって社会に不快感を与えるという問題である。
基本的にジャケットを着る想定ではあるものの、暑いときには脱ぎたいとなればチクポチと襟汚れへの対応は必要になってくる。
チクポチ問題に関しては比較的簡単に解決策が見つかった。相方に相談したところ「そんなのニップレス貼ればいいんだよ。男性用もあるよ」ということで、調べてみたところamazonで簡単に見つけることができた。即買い。実際に家にあった肌着で試してみたところ。ちくぽち問題は見事に解決される。チョイスした肌色版は肌着からでも乳首の存在を隠ぺいする。また、これをつけて10キロのランニングをしてみたが。剥がれる事も無く、頑丈に乳首をカバーし続けた。運動をする時に乳首がこすれて痛くなるのを保護するのが主目的なので、10キロどころかフルマラソンを走っても大丈夫なはずだ。1日つけてみて自分は大丈夫だったが、肌との相性が悪いと痒くなったり赤くなったりするかもしれない。また、銭湯やプールなど裸になるシチュエーションを挟む場合、運用が難しくなる。
調べてみるとシリコン製のものなどいろいろありそう。
2.襟の問題への対応
襟の問題とは、襟のないTシャツにジャケットを羽織ると自分のような脂性のオッサンの場合、すぐにジャケットの襟が黄ばんで汚くなり、社会に不快感を与えるという問題である。
大学時代の一時期、シャツの上にジャケットを着るというスタイルにはまったことがあった。しかし、夏場にこのスタイルで生活をするとやはり首のところが黄色くなってしまう。学生時代もそうだったので、おそらく今であればなおさらであろう。学生の頃から首のところに貼る防汚テープはあったものの、テープが目立ったりすぐ剥がれてしまったりと使いどころが難しかった。Amazonでグッズを探すと、今でもそのようなツールは販売されているが評価もまちまちで、決定打はないような印象を受けた。
襟のついたポロシャツを着れば万事解決なのは間違いない。ニップレスをつけ、ポロシャツを1枚羽織ればTシャツ1枚の場合とほとんど変わらないだろう。しかし、これは自分だけかもしれないが、ポロシャツを着てジャケットを着ると、もうそれはゴルフのイメージであり、仕事に行くという意識ではなくなってしまう。このため、もう少しTシャツにこだわることにしてさらに調べてみると、ナノユニバースの「ジャケT」という商品を見つけることができた。このジャケT、襟足のところが少し高くなっていてジャケットと触れ合うところを襟でガードするようになっている。見つけたときは「なんて画期的な商品なんだ」と快哉を上げた。やはりここに課題感を持っている人がいるのである。1社が出しているとなれば、ほかにも何社が出している可能性がある。探してみたところ。他にも2社見つけることができたので自分がいつも選択しているLサイズのシャツを各社から購入し、試してみた。
メーカー | 商品名 | 着丈 | 身幅 | 肩幅 | 袖丈 |
ナノユニバース | ジャケT(L) | 68cm | 55cm | 43.5cm | 24.5cm |
グンゼ | ドレスTシャツ(L) | 73 | 54 | — | 20 |
アトリエ365 | ジャケTシャツ(L) | 71 | 53 | 49 | 60 |
アトリエ365 | ジャケTシャツ(M) | 70 | 50 | 47 | 59 |
※アトリエ365の製品の袖丈が何を指しているのかちょっとわからない
1.ナノユニバース ジャケT
最初に見つけた製品で、着丈や襟の高さなど、細かく計算されているという。着用した印象も着心地が良い。4000円程度と他の製品より高いが、袖の形状やシルエットなどもよいと思う。綿100%
2.グンゼ ボディワイルド ドレスTシャツ
肌着のトップメーカーの一つ、グンゼの製品である。グンゼのような大企業が製品を出している点にこの分野の注目度の高さを感じる。肌触りは非常によく着心地もよい。ただ、着丈が長く、シルエットも「肌着」というイメージを受けてしまう。本体は綿100% 首周りは綿70%、ポリエステル30%
3.アトリエ365 ジャケTシャツ
ジャケTシャツはギミックが多彩である。ポケットがついていたり袖口に裏地があったり、サイドの切れ込みは肌着ではなく、外に出して着るシャツであることを主張しているように思われる。ポリエステル100%であるために着心地は他の2製品のほうが好みだが、しわになりにくいため運用は楽そうだ。ポケットには期待していたのだが、柔らかく伸びやすいポリエステル生地のため、iPhone12miniぐらいでも大きく型崩れしてしまい常用は厳しい。メモ用紙や付箋、緊急用とするなど使い方に工夫が要りそうである。などと思ったが実際に使ってみると、ポケットのありなしで利便性は大きく変わる。確かにすぐ伸びてしまうが、ちょっとしたものを入れておけるというのはとても重要だと実感。また、サイドに切れ込みを入れるぐらいトップスであることを主張している割には着丈が長く、ジャケットからはみ出てしまうのが残念だった。
総評として、いずれのシャツも丈が長い。それでもナノユニバースのジャケTはよく考えられていて比較的短い丈になっている。ただ自分の場合、身幅や肩巾を合わせるとLでは着丈が大きくなりすぎるようである。
また今まであまり意識したことはなかったのだが、なで肩だからなのか自分には丸首よりもVネックの方が似合うように思えた。そうなると対象商品がアトリエ365に絞られる。サイズ表記を見ると。Mサイズにしても、あまり丈が変わらないところが気になるもののアトリエ365のMサイズを取り寄せた。
これなら何とかなるかな、という印象である。相変わらず若干着丈は長いものの、ジャケットの裾から出ることはないし、胸周りもニップレスのおかげでチクポチすることもない。ただ、そうはいっても着丈の長さは気になるし、襟はここまで高くなくてもよいのではないか。ショルダーにカバンをかけたりして変形することを考えると、この襟の高さは必要だと認識。ただ、もっと首にピッタリ沿ったデザインにしてほしい。
Co2削減の環境目標もあり、政府がスーパークールビズを推進し続けると考えられるので社会人の服装のカジュアル化が止まることはないだろう。そのうちハーフパンツなど、より砕けた格好が認められるようになるかもしれない。今後もっと色々な会社でカジュアル化が進み、襟の部分で悩む人が増えて様々なメーカーから新しい商品が発売されるとよいな、と期待している。