「GPD Pocket2にIntel Extreme Tuning Utility(INTEL XTU)を入れてみる」でみたようにGPD POCKET2は放熱性能を改善することで、より性能を引き出せる可能性がある。GPD POCKET初代でも冷却機能の強化で効果が出ていたこともあり、GPD POCKET2でも試してみた。
※今回は保証のシールもはがすことになるので試す場合は
ご自身の責任でよく考えた上で実施してください。
改造の前に現状の確認
以前ベンチマークを行ってからドライバのバージョンやWindowsのバージョンが変わっているため、あらかじめ現在の数値を計測した。
結果は638というわけで前回の628からは若干向上した。とはいえ性能の変化はほとんどないといってよいだろう。
カスタマイズの内容
前述のようにGPD Pocketの初代でも冷却強化は行っていて10%程度性能が上がることを確認している。方法は、CPUのヒートパイプと外装を熱伝導性の高い素材で直結することで現状のファンによるヒートパイプの末端の冷却だけでなく、外装からも熱の放出を目指す。
今回も同じ方法をとることにして素材を買い集めた。
資材
絶縁性の軟式熱伝導シートを買いそろえた。
- ELECOM ノートパソコン用冷却パッド SX-PD104
- ワイドワーク M.2 SSD向け高熱伝導シート 熱伝導率12W/m・K 70mm×20mm×厚さ0.5mm WW-TP7020
- ワイドワーク T-Global製大判タイプ高品質熱伝導シート 40mm×40mm×厚さ1.0mm 熱伝導率12W/m・K WW-TGX4010
- ワイドワーク T-Global製大判タイプ高品質熱伝導シート 40mm×40mm×厚さ2.0mm 熱伝導率12W/m・K WW-TGX4020
- Silver Stone M.2 SSD専用放熱ヒートシンクパッド SST-TP02-M2(2個)
GPD Pocket2はスリムになった分、初代に比べて内部の隙間(CPUのヒートシンクと外装の間の空間)は少ないのではないかと思われた。しかし、実際開けてみるとヒートシンクと外装との間には結構大きな空間があったので1㎜厚のシートは開けた後で買い増したものである。
また、エレコムのグラファイトシートは熱の拡散性能が高く、Surface Pro4を含め、薄型PCにはよくマッチする放熱シートだと思っている。
分解・施工
GPD Pocket2の底面は全部で6つのねじで止められている。精密ドライバーのプラスがあれば外すことができるが、一か所はシールで封印されている。これをはがした時点で保証はなくなるものと考えたほうが良いだろう。
ちなみに封印部分を含め、すべてのねじがかなり緩くなっていた。自分はかなり使い込んでいるほうだと思うが、クルマのホイールナットじゃあるまいし、半年で増し締めが必要なんてのはやめてほしい。
開けてみるとこんな感じ。ヒートシンクの周りはゴムで縁取りされていて底面の吸気口から入ったごみがすぐには本体内に入らないようになっている。そして吸気された空気はヒートシンクを冷やしてすぐ外に排出される。「カスタマイズの内容」で示したように熱伝導シートで外装との間を埋める、ということは筐体内のエアフローが悪くなるというデメリットがあるが、この構造だと筐体内のエアフローはほとんどないような気がするのでデメリットは小さそうだ。
CPUのあたりを中心にヒートシンクと裏蓋がくっつくように熱伝導シートを貼る。たまに裏蓋を戻してみて跡がつけば熱伝導シートと裏蓋がくっつくということなのでその面積を広げるように押しつぶしてならす。熱伝導シートと外装とが密着しないと意味がないがあまり厚く盛ると閉まらなくなるので適度なところを調節する。
後は蓋を閉めてねじ止めすれば完了である。
1時間もあればできるだろう。
今回はさらにSSD用のヒートシンクを下にひいてさらに放熱性に配慮した。
結果と考察
それではFireStrikeを行ってみる。
まずはXTU未設定状態
644。ここでも6point上昇したがこれは誤差みたいなものだろう。
それではXTUを設定! GPD Pocket2にIntel Extreme Tuning Utility(INTEL XTU)を入れてみるで紹介したようにTurbo Boost Power Maxを10W、Turbo Boost Power Timeを96秒で実行する
827!644から827なので実に1.3倍近い性能向上である。
氷で冷やした831とほとんど同じ値でもある。
ファンがガンガン回るのはいつも通りだが、複数回実行してもエラーになることもない。
なかなか面白い結果となったので後日改めて他のベンチも行ってみたい。